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長生きだけど不健康、人類未到の難題にケアシフトの要請 松下博宣氏

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 ケアシフトによって、さまざまな問題をはらみながらも保健・医療・福祉サービスのあり方が変化している。その変化の只中で新しい「ケア・キュア・サイクル」が回りつつある。個人、企業、地域は、人を「健康人的資本」としてとらえ直すことが求められている。その意味で、健康人的資本主義の時代が到来しているのである。

人生最後の約10年は「不健康」

 人口の超高齢化と人口減少に直面する日本は、ドイツ、韓国、台湾、中国などに先駆け、人類未踏の境地に踏み入りつつある。世界有数の長寿国となった日本ではあるが、長生きしても健康でない人の数は増える一方だ。

 そこで「健康寿命」という考え方に注目したい。健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されずに過ごせる期間のことだ。したがって、平均寿命と健康寿命の差が、日常の生活に制限が生じる「不健康な期間」となる。2010年の厚生労働省の調査によると、この「不健康な期間」は男性で70.4歳の時点から9.1年、女性で73.6歳の時点から12.7年となる。

10年前後もある日本国民の「不健康な期間」(=平均寿命-健康寿命) データ出所:厚生労働省(2010年)

10年前後もある日本国民の「不健康な期間」(=平均寿命-健康寿命)

データ出所:厚生労働省(2010年)

 高齢化社会では、認知症を患い要介護状態となったり、脳卒中、心不全、ガン、その他慢性疾患を抱えていたりする高齢者の人口が増加するのはほぼ確実だ。

 さて、ここで注意したいのが、高齢者の範囲である。「高齢化現象」という言葉を聞けば、65歳以上人口の増加を連想する読者は多いだろう。

 しかし、高齢化現象においては、65~74歳の人口よりも、75歳以上の人口が急増するのである。つまり、前述した「不健康な人生の期間に身を置く人々の数」が急増する。だから問題は深刻なのである。1年につき約1兆円ずつ高騰している国民医療費の財源問題があり、いかに健康な人々を増やすのかが重要な政策課題だ。

 換言すれば、罹病してからの事後的な治療やケアではなく、罹病しないための事前の予防や健康増進が問われている。

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