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自分と社会をゆるく小さく結ぶ「ソーシャル起業」のすすめ 松下博宣氏

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 人生前半の仕事が10万時間、後半の自由な時間が10万時間。高齢化により、どっと多くの日本人が人生後半に突入している。それに伴い「ケアシフト」という現象が起こりつつある。ケアシフトを見据えながら人生の各時期をいかに過ごしたらよいのか。「ソーシャル起業」という切り口から考えてみよう。

前人未到の境地に直面する日本人

 古代インドの人生訓として「四住期」という教えがある。人生を4つの期間に分けて、それぞれの期間における理想的な過ごし方を説くものだ。

(1)学生期:良き師を得て勉学に勤しむ時期
(2)家住期:家庭にあって子をもうけ、一家を営む時期
(3)林住期:森林に隠棲して静かに瞑想・修行する時期
(4)遊行期:一定の居宅をあえて持たず、諸国を放浪・遊行する時期

 今と比べれば平均寿命が著しく短かった古代インドにあって、子どもを一人前に育てた後、林住期や遊行期まで命が持ちこたえることは稀だった。だから、多くの古代インド人にとっては、四住期は厳しい現実とかけ離れた夢、理想だった。

 さて、古代インドから時空を飛び越えた現代日本。平均寿命は著しく延びた。欧州では1910年に、そして日本では1947年に平均寿命が50歳を超えた。そして、周知の通り日本人の平均寿命は、2012年時点で男性79.9歳、女性86.4歳にまで延びている。

 平均寿命を単純に比較すれば、平均的な日本人にとって、古代インド人から見れば夢のまた夢だった学生期、家住期、林住期、遊行期のすべての時期を過ごすことが可能となっているのである。

近代資本主義・市場競争が支配する人生前半の10万時間

 生命体としての生殖能力には個人差がある。しかし、おおむね家住期に家庭にあって社会の制度を利用して子を産み育てること、つまり社会的な生殖能力は50歳くらいで終わる。産業社会では65歳くらいまで定年を延長するように制度が再設計されていて、そこから高齢者の仲間入りを果たすということになる。

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