デジタルトランスフォーメーションへの道

人材派遣会社がRPAによる自動化に力を入れるワケ キューアンドエーワークス 代表取締役社長 池邉竜一氏に聞く

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RPAは人間の不得手な部分をサポート・補完

――これまでも企業はITで業務を自動化してきましたが、どのような課題があったのでしょうか?

 従来の企業ITとRPAのようなデジタルレイバーは役割が違います。企業ITでは要件定義の際、ヒアリングによって要望を集めますが、予算の関係ですべてを機能としてシステムに盛り込むことはできません。小ロットの業務、期間限定の業務、データの形式が流動的な業務、終了時期が未定ながら将来なくなる業務はシステム化が見送られるのです。すると、システム化したメインの業務の周辺に、システム化から漏れた人手の業務が漂うように発生します。例えば、表計算ソフトのデータを企業ITのシステムへコピー&ペーストして入力するといった業務です。

 そうした一貫性がなく、システムと関連性の深い人手の業務を自動化するのがRPAの役割で、企業ITとは補完関係にあります。RPAは初期導入時にライセンス料は必要ですが、導入後は、業務を自動実行する「ロボット」を何体作っても追加費用が発生しません。3日だけ実施する業務のためにロボットを作ることもできますし、業務が終わればロボットを捨てることも容易です。また、表計算ソフトのマクロと違って、幅広い業務ソフトウエアの操作を自動化できます。

 また、通常の企業ITでは、開発するシステムに合わせて、データなどを入力する人間の業務を設計します。一方、RPAのようなデジタルレイバーは、人間が指示したとおりに動く「部下」という位置づけです。人間は創造力やひらめきといった点で優れていますが、ときに忘れ、ときに間違え、やがて飽きるなどで、ミスやヒヤリハットを生みます。そこでデジタルレイバーにこの人間の不得手な部分をサポート・補完してもらい、人間は得意な創造やひらめきが必要な業務に集中するのです。

 AIは人間の仕事を支援するという意味で、広くはデジタルレイバーに含みますが、これは人間の知性・思考を補う技術です。特に人間がルールに基づいて思考・判断する部分は、人間をしのぐ速度で解を出せますが、人間の創造力やひらめきはやはりまねできません。

――RPAを導入する企業の経営者や幹部に、どのような意識の変化が生まれていますか?

 企業の経営者は、デジタルレイバーが動作しない古いIT環境の廃棄を決断するようになりました。これまで企業はインターネットにつながっていない古いIT環境であっても正常に動作する間は使おうとしていました。しかし、そうしたIT環境ではデジタルレイバーが動かないと指摘すると、時代遅れだと気づいて投資を決断します。デジタルレイバーによる自動化は投資対効果がわかりやすく、投資を決断しやすいのです。

 デジタルレイバーの導入支援サービスは、当社の全国の事業拠点で手がけていますが、地方のほうが導入意欲が高いと感じます。企業ITは外部の専門家に開発を依頼するしかありませんでした。RPAの場合、最初に導入するときの支援は必要ですが、導入後は利用者が自分たちでロボットを開発できる手軽さが受けているのかもしれません。当社のロボロイドという導入支援サービスでは、RPAのあるべきIT環境を提案するとともに、導入後の利用者教育などを通じた技術移転を行うことができます。

――デジタルレイバーの活用によって企業が求める人材はどう変わるでしょうか?

 大きく2つの変化があるでしょう。1つは気遣う・寄り添うといった人間にしかできないことが重要になり、他人のために奔走できるような人材が求められます。もう1つは創造性やひらめきが重要になりますので、それらが豊かな人材が求められるようになるでしょう。

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