天下人たちのマネジメント術

上海で成功する5条件、失敗の3条件 袁静氏が読み解く「中国セレブ消費」(4)

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邦人社会向けのビジネスモデルはNG

 --逆に上海ビジネスにおけるNG事例はありますか。

 「第1に日本の成功体験を捨てきれないとまず失敗します。“頑固オヤジのこだわりラーメン”といった雰囲気の店も進出しましたが、みな消えていきました。スープに絶対の自信があるから上に乗せる具は最小限に、といったビジネスモデルは通用しませんでした。現地化を進めるにはトッピングなどでお客が自分で味を調整できるようにすべきでした」

 「第2にPRのためのメディアの選択です。TVチャンネルは非常に多いですが上海人が主に情報を得るのはスマホからです。特に親しい友人や親戚の意見、動画投稿サイトで人気がある『網紅』などです」

 「第3ののNGはよく見られます。上海の在留邦人は約4万人を超え、大きなコミュニティーを形成しています。だから上海に進出した企業は、最初に日本人社会を相手にしようと計画します。しかしスケールを拡大して、中国人社会相手の同様の手法は通用しません。成功経験は生きないのです」

 --日本人にとって上海人、上海人にとっての日本人はどういう存在なのでしょうか。

 「上海人はドライな都会っ子でビジネスライクですが、中国第1の都市の人間であるという自負も強いです。井上章一さんの『京都ぎらい』を読んで京都人と上海人は驚くほどメンタリティーが似ていると笑ってしまいました。プライドが高く、オシャレで、ほかの地域の人々をどこか見下ろしています。北京にはライバル意識を燃やします。春節に訪日中国人を歓迎しようと、ある日本の旅館が手作りの餃子を用意しました。上海人は“北京と一緒にするな”と不愉快に思ったそうです」

 「日本人のイメージは“老実”です。上海ビジネス界ではA氏がB氏を、さらにC氏をと、どんどん紹介していきます。しかし日本人は間を飛ばさない。D氏にビジネス用件があっても、まずA氏からつないでいきます。一方、決断のスピードが欧米企業に比べ遅い。上海支社における権限と予算の委譲の問題とも思うのですが」

(聞き手は松本治人)

キーワード:経営層、管理職、経営、営業、マーケティング、グローバル化、国際情勢

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