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「空間経済学」が示す震災復興の道すじ

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 東日本大震災から11日で7年。被災地では津波などの傷痕がいまだ深く残っており、東北地域の復興が依然として道半ばであることを印象づけている。震災直後から現地の実証分析を続けてきた藤田昌久・甲南大特別客員教授、浜口伸明・神戸大教授、亀山嘉大・佐賀大教授の3氏は、新しい経済理論である“空間経済学”を駆使し、地域が安定的に成長できるように説いた「復興の空間経済学」(日本経済新聞出版社)を刊行した。震災からの復興だけでなく、日本が直面している人口減少時代にどう取り組むべきか、著者の1人である浜口教授に聞いた。

EU統合が生んだ空間経済学、人口減少時代にも対応

 ーー「空間経済学」とは、どんな経済理論なのでしょうか。

 「1990年代における欧州連合(EU)統合などをきっかけに考え出されたものです。地域統合が進むとある地区の生産者にとっては従来よりも市場が広がる、消費者にとってもバラエティーに富んだ商品を選べるといったメリットが生じ、経済の集積が進むことに着目します。空間経済学とは『ヒトと企業の相互作用的な立地の変化を考慮して経済の地理的空間上の秩序形成を理解するための理論』といえます。人口の増加期だけでなく人口減少時代にも対応した経済モデルの構築ができます」

 ーー日本は人口減少時代に突入した一方、東京は逆に今も増えています。新著では日本が人材と知識の多様性を確保するために地方の独自性を保っていくことが必要であると説いています。

 「地方が文化的な面も含めて独自性・多様性を維持することはその地方のためだけでなく、日本全体のために重要なことです。平昌五輪での「カーリング女子」チームは北海道出身です。地方に人がいなくなれば、地域の特色を生かしたアスリートもいなくなり、五輪でメダルを取れる選手を輩出することは今後無理でしょうね」

――東北大震災からの復興に関しても三陸沿岸部のケースとして「空間経済学」の立場からは以前の形そのままに戻すことではないと説いています。

「三陸沿岸部では震災前から人口減少が始まっていました。震災後の人口流出のネガティブ・スパイラルを止めるために2018年現在の段階で考えるべきは、地域に適した生産年齢人口で安定した成長が望める“創造的復興”です」

 

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