ニッポンのインフラ力

インフラ輸出、高い質とスピード両立 金哲太郎・国際協力機構(JICA)企画部業務企画第二課長に聞く

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協力:明電舎

 日本企業による海外インフラ輸出に追い風が吹いている。発展途上国の経済成長に伴い、鉄道や発電など日本企業の高い技術力を生かせる分野へと市場が広がっているためだ。日本政府も「質の高いインフラ」を成長戦略の柱に掲げ、民間の取り組みを後押しする。ただ、中国や韓国勢との競争も激しい。どんな戦略で輸出を増やすべきか。国際協力機構(JICA)企画部業務企画の金哲太郎第二課長に聞いた。

アジア中心に大型案件が増加

――途上国を対象としたインフラ輸出が好調のようです。現状を教えてください。

 途上国へのインフラ輸出は多くの場合、有償資金協力を伴います。そのうち、途上国政府などが実施する事業を支援するため、途上国政府に融資するものを円借款といい、民間企業が実施する事業に融資・出資するものを海外投融資といいます。いずれも2015年以降に大きく伸びています。

 円借款の新規承諾額のうち、インフラ分野は2015年度に1兆8081億円と、前年度比2.5倍に急増し、2016年度も1兆2410億円と高水準でした。また、海外投融資の出融資承諾金額も2015年度は153億円と前年度比7.5倍、2016年度は184億円とさらに伸びています。

――伸びている要因は何でしょうか。

 1つは日本政府の「質の高いインフラ」投資の推進に関する政策強化です。安倍首相は2015年5月、「質の高いインフラパートナーシップ」を公表しました。(1)円借款のほか、ドル建て借款の創設など様々な経済協力ツールの活用、(2)アジア開発銀行(ADB)との連携、(3)国際協力銀行(JBIC)の機能強化、(4)「質の高いインフラ投資」の普及促進、の4本柱からなります。

 このうち、(2)ではADBが2015年度に設立した「アジア・インフラパートナーシップ信託基金」にJICAが出資し、インド向け太陽光・風力発電事業や、インドネシア向け地熱発電事業を支援しています。また、円借款では日本企業の受注などを条件とする一方で金利を低く抑えたSTEP(本邦技術活用条件)の活用も進んでいます。

 もう1つの要因は、途上国側の旺盛なインフラ投資意欲です。特にここ2~3年は承諾案件の1件あたり金額が大きくなっています。2016年度の円借款承諾額の上位3カ国はインド、ベトナム、バングラデシュですが、地下鉄や高速鉄道、高速道路、火力発電所といった大型案件が増えています。

――今後、有望な技術分野については、どう見ていますか。

 日本企業の高い技術力をさらに生かせるよう、円借款の新たなスキームとして「ハイスペック円借款」を2017年度に設けました。これは質の高いインフラの導入にあたり、価格だけでなく、ライフサイクルコスト(LCC)評価や、安全性、災害に対する強靱性、持続可能性、利便性・快適性といった要素を盛り込むものです。

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