石澤卓志の「新・都市論」

外国人の増加が地域格差拡大を緩和する みずほ証券 上級研究員 石澤 卓志氏

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 総務省が1月27日に公表した「住民基本台帳人口移動報告」によれば、2017年に転入人口が転出人口を上回った都道府県は、東京圏の1都3県、愛知県、大阪府、福岡県の合計7都府県のみだった。日本全体で人口減少が進むなか、東京圏への人口集中が続き、土地資産額などの地域格差も拡大している。その一方で、外国人の増加が人口減少を緩和した自治体も見られた。オリンピックなどを契機に日本の魅力を高め、多様な労働力の導入を図ることが、人口減少問題への対応策となる可能性も考えられる。

想定を超える出生率低下と長寿化

 日本の将来人口の予測は、国立社会保障・人口問題研究所が5年ごとに実施される国勢調査などに基づいて、定期的に実施している。過去の実績データもサンプル数も豊富にそろっているものの、予測結果は調査時点によって大きな差が見られる(図表1)。

図表1:日本の将来推計人口

 1992年時点の予測結果(中位推計)では、日本の総人口は2011年の1億3,044万人をピークとして減少に転じ、2074年に1億人を切って、2090年には9,573万人になると見られていた。しかし、それ以降の予測結果では、ピーク時の人口数が減少し、その後の減少ペースが加速する内容となっている。

 これは、想定以上に出生率が低下し、また、平均寿命が延びたためである。1992年予測では、合計特殊出生率(女性1人が生涯に出産する子供の数)について、1991年の1.535が、2016年に1.798、2021年以降は1.800になると、上昇が見込まれていた。ところが2016年の合計特殊出生率(実績値)は、この想定とは逆に1.44に低下した。

 1992年予測では、男性の平均寿命(出生時の平均余命)は、1990年が75.92歳、2016年が78.05歳、2024年以降は78.27歳との前提だった。また、女性の平均寿命は、1990年が81.90歳、2016年が84.77歳、2024年が85.06歳と想定されていた。しかし2016年の平均寿命(実績値)は、男性が80.98歳、女性が87.14歳と、いずれも過去最高を更新した。

 最新の予測である2017年予測(出生中位・死亡中位仮定)の結果には、これまでの予測結果とは異なった傾向が見られる。前回(2012年時)の予測では、総人口は2010年の1億2,806万人をピークに一貫して低下し、2015年は1億2,660万人、さらに2110年には4,286万人と、100年間で3割強の水準まで落ち込むと見られていた。しかし、2015年の国勢調査による総人口は1億2,710万人(実績値)と、この予測値をやや上回った。

 この上振れを反映して、最新の2017年予測では、2110年の総人口は5,343万人と、前回予測を約25%も上回る内容となっている。2015年の実績値が上振れした背景には、合計特殊出生率が、過去最低だった2005年の1.26から、2015年(2017年予測の算出時点での最新データ)に1.45とやや持ち直したことや、高齢者の死亡率が大幅に改善したことが影響している。

 最新予測で人口の減少ペースがやや減速したことは、明るい見通しとも言えるが、高齢者の死亡率改善は、高齢化率(65歳以上人口の総人口に対する比率)の上昇をもたらす。1992年予測では、1990年に12.1%だった高齢者率は、2016年に24.6%、2044年に28.4%と当面は上昇が続くものの、2047年以降は低下に転じ、2090年には24.5%になると考えられていた。これに対して最新予測では、2053年以降の高齢者率は38%台で推移すると見られている。

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