IoTの勘所

凸版印刷がヒトのIoT事業で経験した試行錯誤

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 1900年(明治33年)に創業した凸版印刷。印刷会社というと紙とインクの匂いのする工場を想像するが、1959年にエレクトロニクス事業へ進出するなど、現在は「情報コミュニケーション」「生活・産業」「エレクトロニクス」の3分野にわたってビジネスを展開している。

 同社が情報コミュニケーション分野で手がけるIoTサービス「アイディーウォッチー(ID-Watchy)」は、顧客の「モノ」に加えて「ヒト」の動きを見える化する事業である。無線通信を利用した自動識別技術と監視カメラを組み合わせて、ヒトやモノの動きを効率的に把握する仕組みで、2017年11月に正式提供を開始。2018年度に約5億円の売り上げを目指している。ヒトに適用すれば、労務管理や安全管理の強化が可能になるほか、不正・事故発生時の証跡として活用できるようになるという。

 しかし、IoTサービスの事業開発は一筋縄ではいかないことが多い。凸版印刷は、2016年9月にアイディーウォッチーのプロトタイプ(原型)を発表。2017年4月から開発に着手し、2017年8月に自社工場へテスト導入。同年11月から正式にサービスを開始しているが、トライアンドエラーの連続だった。

 今回は、凸版印刷 情報コミュニケーション事業本部 セキュアビジネスセンター セキュアビジネス推進本部 セキュア販促部 RFID販促チーム 課長の中川仁克氏、同チーム 技能主任の成田康雄氏、同チーム 松枝毅氏の話をもとに、IoTの勘所を探った。

開発のきっかけは住宅建設現場の管理強化

 このIoTサービスを開発したきっかけは、建設現場が長期的に取り組む社会保険未加入問題である。建設業では下請けを中心に、法令が義務付ける社会保険に未加入の企業や労働者がおり、社会保険未加入問題と呼ばれる。凸版印刷はオフィスの社員証や入館証などに使うICカードを手がけており、その技術を現場の入退場管理に活用できないか検討したのである。

 成田氏は「大規模な建設現場では比較的、未加入対策が進んでいましたが、住宅のような小規模な建設現場における管理は遅れていました。社会保険加入者だけが入場するといった厳格な管理を実現する必要がありました」と説明する。

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