REG/SUM2017スペシャル

期待高まるレグテック、業種・業態超え活用へ

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[弁護士] AI活用で提案力強化

 今回のレグサムの特色の一つは、弁護士など司法関係者が登壇者や聴講者として多く参加したことだ。日本弁護士連合会の中本和洋会長は今後の弁護士像について「人工知能(AI)を業務支援のツールとして活用しつつ、問題を理解するための幅広い知識やコミュニケーション能力、新たな解決策の提案力を強化することが一段と重要になる」と語った。

 中本氏は「AIは人間の話に共感して理解することはできず、すべての弁護士業務に取って代わることはない」とも指摘した。

 TMI総合法律事務所の北島隆次弁護士は、レグテックを「規制対応とコンプライアンス(法令順守)コストの低減を技術で両立させる」ことと定義した。現状は法律がビジネスのスピードに追いついておらず、法律事務所は技術と各国の法規制を理解したうえでデジタル社会の新しいルール作りに関与することが求められていくと述べた。

 企業や捜査機関向けに証拠データの復旧・保管などを支援するAOSリーガルテックの佐々木隆仁社長は、裁判手続きのIT化に関する政府の有識者検討会が2017年度中に結論をまとめることを紹介した。そのうえで、機密情報をクラウド上で共有する同社のバーチャルデータルームが、裁判の際の文書のやり取りにも役立てられると意欲を示した。

[法令順守] 対応コスト増加、専門家不足が課題

 コンプライアンス(法令順守)に適切に対応しつつ、そのコストをどう引き下げるかはレグテックの大きなテーマだ。

 パネル討論では、EY Japanでレグテックチームを率いる新日本監査法人の小川恵子パートナー公認会計士が「社会に新たな価値を創造するイノベーション」とレグテックを意義付けた。SBIホールディングスの乙部辰良取締役執行役員常務は「法体系が各国ごとに異なり、世界的な規制統一が進まない中で、金融機関の対応コストは上がり、レグテックに頼ざらるをえない」と分析した。

 企業・金融機関では「コンプライアンス要員の増加」(三菱UFJフィナンシャル・グループの亀沢宏規執行役常務)や規制の複雑化、増大化に対する専門家の不足が課題になっており、レグテックで生産性を高める必要があるとの認識で一致した。

 NTTデータの宮本拓也企画部事業開拓推進室部長も講演で、規制の変更や世界展開に伴う多言語化の対応などが課題と指摘した。

[事業コンテスト] SBI賞にリグシー、中小の契約書作成支援

 スタートアップ企業が事業を競うコンテスト「ピッチ・ラン」も開催した。国内外24社の中から、SBIグループ賞には契約書作成のリグシー(東京・港)が選ばれた。ソフト開発の米ヘクサニカ(ニューヨーク)と不動産投資のネット仲介を手掛けるクラウドリアルティ(東京・千代田)が日経賞を受賞した。

 クラウドリアルティは不動産開発案件に少額投資できるクラウドファンディングサービスを展開。京町家の再生プロジェクトなどの資金調達を支援する。鬼頭武嗣社長は「不動産と投資家を直接つなぐ新しい市場を作る」とアピールした。

 「規制順守のため年20億ドル(約2200億円)と3万人超の人員を投入していたが、それでも罰金を支払っていた」。ヘクサニカのヨゲシュ・パンディット最高経営責任者(CEO)は米シティバンクを経て起業し、金融業界向けに規制順守の手続きを自動化するソフトウエアを開発した。日本展開に向け、大手銀行との協業を図る。

 弁護士資格を持つリグシーの笹原健太社長は、中小企業が厳密な契約書を交わさないためにトラブルが起きたのを何度も見てきた。リグシーのサービス「ホームズ」はクラウド上で契約書の作成から管理まで一貫して支援する。「契約書の時間やコストを大幅に削減できる」(笹原社長)キーワード:経営層、管理職、プレーヤー、経営、企画、技術、イノベーション、ICT

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