REG/SUM2017スペシャル

期待高まるレグテック、業種・業態超え活用へ

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 日本経済新聞社は2017年12月20~21日、レグテック(規制とテクノロジーの融合)をテーマにした国内初のイベント「REG/SUM(レグサム) レグテック・サミット」を東京都千代田区の丸ビルで開催した。国内外のスタートアップ企業や大企業のほか、弁護士、公認会計士など士業関係者や行政担当者が多数参加。複雑化する規制に伴うコストをテクノロジーで引き下げて経済の生産性を高める方策について議論し、アイデアを競った。

レグテックとは

 規制(レギュレーション)と技術(テクノロジー)を組み合わせた造語。先端技術を駆使して規制に伴うコストを引き下げ、生産性を高める手法を指す。民間企業や金融機関が政府の規制に対応するコストを減らす試みのほか、政府自身が手続きの電子化で行政を効率化することも含む。

 欧米では金融機関が独自技術を持つスタートアップと連携し、レグテックを利用している。規制対応はあらゆる産業に共通するため金融以外に広がる可能性もある。業界特有の規制が多い日本は活用の余地が大きい。

[レグテック推進] 政治の指導力が重要

 「レグテックに政治も取り組む」。自民党金融調査会長を務める根本匠衆院議員は、開会式の講演でこう決意表明した。

 レグテックが企業や行政の組織のコスト削減につながれば、生産性革命や長時間労働の改善につながり、アベノミクスの有力な矢になりうると期待する。所管が多くの省庁にまたがることの多いレグテックの推進に向け、官僚任せにせず、政治が指導力を発揮する重要性を強調した。

 参考になるのは、先行する欧米など海外の取り組みだ。米調査会社CBインサイツのリンゼイ・デービス氏は「金融危機以降、世界の金融業界では3210億ドル(約35兆円)もの罰金が支払われている」と指摘する。

 巨額の規制対応コストに直面し、米ゴールドマン・サックスなど大手金融機関がレグテックのスタートアップ企業に積極的に投資する動きもある。「規制する側も人工知能(AI)などの技術を活用し、規制の高度化・効率化を図る段階に入る」とデービス氏はみる。

[中央官庁] 若手官僚、VBと未来像描く

 レグテックなどIT技術の急速な進展は、日本の未来像を描く中央官庁の若手官僚に刺激を与えてもいる。

 昨年10月、30代を中心とする若手職員137人が省内ベンチャー組織「政策ベンチャー2030」を立ち上げた国土交通省は、スタートアップ企業との交流を求め、同組織のメンバーらが討論会を開いた。

 同省総合政策局の三善由幸氏は「IT技術の進展で大震災などの避難時では全体最適な誘導が可能になっている一方、個人の意思決定にどれだけ踏み込むかが困難な課題」と指摘。都市計画課の一言太郎氏は「技術の進展で商品やサービスに標準的なものがなくなった。標準モデルを前提にする行政サービスは必要だろうか」と問題提起した。

 これに対しゴールドアイピー(東京・千代田)の白坂一社長らレグテックスタートアップの経営者が経験を踏まえ討論した。国交省のチームは今夏にも提言をまとめる予定だ。

 経済産業省もスタートアップ企業と討論会を開いた。経産省側は昨年1月に稼働した「法人インフォメーション」システムや18年度に計画する「経産省ベンチャープラットフォームプロジェクト」を解説。どちらもオープン化し、誰もが利用できる。ANNAI(京都市)の紀野恵最高経営責任者(CEO)は「民間企業がデータを出しやすくするのがカギ」と指摘した。

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