REG/SUM キーパーソンに聞く

技術進歩に応じたルール作り、法律家に新たな役割 TMI総合法律事務所・弁護士 北島隆次氏に聞く

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 日本経済新聞社は12月20~21日、「レグテック(規制とテクノロジーの融合)」をテーマにしたグローバルイベント「REG/SUM(レグサム)」(=RegTech Summit)を実施する。開催にあたって、参加企業・団体のキーパーソンに注目テーマや最新動向などを聞いた。TMI総合法律事務所の北島隆次弁護士は、世の中やビジネスの変化に法律が追いつかない状況下で、法律家には技術進歩を踏まえた関係者間のルール作りなど新たな役割が求められていくと指摘する。

目指す世界描く発想が重要

――日本のレグテックの現状をどう見ていますか?

 個人情報保護をどうするかとか、セキュリティをもっと強化しようとか、まだ個別の「部品」の話が多い。短期的にはそれでも効果があるし、個別に対応もできる。ところが、届け出を全部自動化するとか、今まで10回必要だった手続きを1回でいいことにするとかいったことになると、やはり全体を見る人が要る。

 現状で悩ましいのは、規制全体が理解できているプログラマーはいないし、規制全体を理解した上でプログラマーに指示を出せる当局なり金融機関なりもなかなかいないと思われること。また、英国の事例などを調べると、レグテック関連企業が作ったコンセプトのテストに銀行がどんどん参加したり、規制当局が支援したりといった動きが見えているが、日本ではなかなかそこまでできていないのではないか。

――レグテックの意義とは?

 レグテックとは、規制対応とコンプライアンスコストの低減をテクノロジーで両立させること。紙でやっていることを電子に置き換えるだけだと恩恵があまりない。重要なのは、どのような世の中、仕組みを作りたいのかという発想だ。規制当局と事業者との在り方をこうしたいといった「絵」を描いてシステムを入れていくのであれば変わってくる。

 3年やって普及しなかったからすぐやめるとかではなくて、5年、10年かけてもやるべきことを少しずつやっていくのでないといけない。また、「ここまで規制に対応したから、この部分は免除する」といった、事業者に対するアメとムチも必要だろう。

――レグテックのニーズが高いのはやはり金融関係でしょうか?

 動くとしたら、まず金融だろう。厳しい収益環境下で、コンプライアンスにかかるコストや訴訟費用が莫大に増えているからだ。フィンテックはIT企業が金融機関の「ひさしを借りて母屋を取る」ようなところが本質だが、レグテックはまずは金融機関主導で進んでいる点において少々意味合いが異なる。今、金融機関などで検討されているRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション=定型業務の自動化)による内部業務の効率化もレグテックの一種といえる。

――そうしたなかでの法律家の役割は?

 世の中の動きやビジネスの変化が速すぎて、明らかに法律が追いついていない。法律家にとっては危機であり、法律を作る国会にも課題が突きつけられているのではないか。一方、ルールを求める要望はビジネスサイドからも行政側からもある。そういうときに私たちは新たな役割を担うべきだと思う。それは関係者間でのルール作りなどの取りまとめとか、金融関係者とスタートアップを含めたIT企業の人たちをつなげる仕事なのではないか。そういう意味ではリーガルが関わる場面はまだまだあるし、むしろ新たに求められる世界があるのだろうと思っている。そういうことまで意識していないと、私たちだけが置いていかれる。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。