「FIN/SUM WEEK 2017」初日の9月19日、東京・丸ビルのメーンホールでパネルディスカッション「フィンテックスタートアップが生み出す新しいお金の流れ」が開催された。マネーフォワードの辻庸介社長が司会を務め、気鋭の起業家たちがお金とコミュニケーションの融合やスタートアップの経営スタイルについて和やかに語り合った。(文中敬称略)
登壇者
鶴岡裕太氏(BASE代表取締役CEO)
家入一真氏(CAMPFIRE代表取締役社長)
中村仁氏(お金のデザイン代表取締役社長CEO)
司会
辻庸介氏(マネーフォワード代表取締役社長CEO)
左から辻庸介氏(マネーフォワード代表取締役社長CEO)、鶴岡裕太氏(BASE代表取締役CEO)、家入一真氏(CAMPFIRE代表取締役社長)、中村仁氏(お金のデザイン代表取締役社長CEO)
若者の価値観がお金にも反映
辻 鶴岡さんの会社の事業を紹介してほしい。
司会を務めた辻庸介氏(マネーフォワード代表取締役社長CEO)
鶴岡 大きく3つのサービスがある。1つはBASEというイーコマース(EC)ショップが簡単に作れるサービス。40万ほどのショップが使っていて、毎月2万ずつくらい増えている。2つめがPAY IDという決済IDのサービス。すでに100万人ほどが使っている。最近中国などで話題になっているが、QRコードをアプリで読み込むと簡単に決済ができる。3つめはPAY.JPという決済サービス。さまざまなスタートアップの裏側の決済だけを担っている。
辻 BASEはなんでこんなに伸びているのか。
鶴岡 かつて、ネットショップを始めるにはECを運用する専任者が必要だった。BASEができてからは、1人で切り盛りしているショップオーナーが自分でECもやるという感じになっている。ターゲットが今までECをやると思っていたレイヤーとまったく違っている。これが大きいと思う。
鶴岡裕太氏(BASE代表取締役CEO)
辻 続いて、家入さん。
家入 CAMPFIREというクラウドファンディングサイトを運営している。国内のクラウドファンディングでは最大とうたっている。最近はpolcaという個人間のもっと小さなファンディングも始めた。たとえば会社で誰かのサプライズのバースデーをやるとか、大学のOBサークルで退任祝いをするとか。閉じたネットワークのなかでゆるやかにファンディングするというのが実はもっと需要があるのではないかと思っている。あとはクラウドファンディングと連動したレンディングもやっていく。最近だと仮想通貨の事業を始めたり...。
辻 polcaはコミュニケーションとお金が密接につながっているという印象だ。
家入 「評価経済」とか言われるようになってきているが、ただモノがほしいから消費するのでなく、応援したいからお金を出すとか、共感したから出すとか、自分の信用を何かの形に変えるとか、お金の流通の形も変わってきているのだと思う。そこにまつわる感情や評価を考えると、お金の流れとコミュニケーションが切れないものになっていくのだろうと...。