ビシネス活用が進むVR

加速するビジネスでのVR活用、今知りたい注意点

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 設計・解析においては、建設・土木業界、少量の受注品が中心の製造業などで以前からVRが使われていた。「いずれも試作品を作ることが難しく、設計を事前に検証する方法として、3次元CGをベースにしたVRが活用されていました」(武井氏)。設計図を基に仮想的に建造物などを3次元CGにすることで、360度自由な視点で見られるようにする。建物の中に入ったかのような映像を見ることもできる。

 「医療では、手術の前に患者の臓器をCT(コンピューター断層撮影装置)で撮影し、3次元映像を作成。それを基に、予行演習を行うなどで、より正確で医師のストレスが少ない治療が可能になっています。VRを使うことで臓器を多角的な視点から把握できるようになります」(武井氏)

 また、アミューズメント施設の演出の一環としてVRを導入するロケーションベースエンタティンメントは安定的な需要があり、日本でも導入が進んでいる領域である。乗り物系のアトラクションのコースを物理的に変えずに、異なる風景をVRで体験させる。「VRという最新技術によって、これまでにない体験が提供できるうえに、コースを再構築するコストが削減できるのがメリットです」(山岸氏)

注意点を踏まえて活用することで大きな効果

 ビジネスでVRを活用する際にはいくつか注意点もあるが、それらを踏まえて導入すれば大きな効果が期待できる。VRを適用する業務の選定・導入段階から運用段階までについて注意点を見てみよう。

・導入効果を見積もる

 VRを適用する業務の選定・導入段階では、導入効果を見積もることが重要になる。しかし、NRIの山岸氏は「VRの導入効果は数値的に把握しにくい場合が少なくありません」と指摘する。例えば、建築・土木でのVR活用やアミューズメント施設の演出のためのVR活用ではコスト削減という明確なメリットがあるが、営業支援では導入してみるまで売り上げ増大などに結びつくかどうかは不透明である。

 みずほ情報総研の武井氏は「防災対策や医療など、ある程度コストがかかっても使いたいというニーズの高い活用法があります。そうした活用方法を見つけることが導入ポイントです」と話す。

 また、VRの効果をユーザーが明確に感じるかどうかも重要だ。「従来にない体験」を得たという実感を利用者が持たなければ、VRを導入する意義は薄い。仮想的な旅行体験をVRで提供する場合、「裸眼でも普通に見える風景をVR化するのではインパクトがありません。秘境のように通常は行くことができない場所の映像にする必要があります」(山岸氏)。

・コンテンツの制作にはノウハウが必要

 VRコンテンツの制作期間とコストは通常の映像よりかかることにも注意したい。「360度すべての映像を撮影するため、コンピュータが処理するデータ量は従来よりもはるかに増えます。さらにVRのコンテンツ制作はまだ、属人的なノウハウの固まりで、コンテンツによっては制作者を指定する必要がある場合があります」(武井氏)

・運用・保守の手間やコストを軽視しない

 さらに、武井氏はVR機器の運用・保守にかかる手間やコストを軽視してはいけないという。「アミューズメント施設の演出のためにVRを導入する際は、ユーザーをサポートする専任の担当者が必要になることが多いと思います。機器が故障したときには交換するなどの対応を行う担当者が必要になります」

 しかし、こうした注意点を踏まえれば、VRはビジネスを加速する新たなツールになる。「何でもVRにすればよいわけではありませんが、ビジネスを推進する企業の選択肢を増やしたことは確かです」(武井氏)

キーワード:経営、企画、技術、製造、経営層、管理職、プレーヤー、VR、ICT、イノベーション

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