IoTへの挑戦、成長軌道へ

可能性広がるIoT時代 何回でもチャレンジできる ユビキタス社会を提唱、東京大学教授の坂村健氏に聞く

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 あらゆるものがインターネットにつながる「IoT(モノのインターネット)」。技術イノベーションを生み、社会を発展させるとの大きな期待が寄せられている。ただ、連日メディアに取り上げられ、多くの人に語られている割には、今ひとつその実態がつかみきれていない向きも多いのではないか。30年前に「どこでもコンピューター」のユビキタス社会を提唱した東京大学の坂村健教授の思想は、まさに今のIoTそのもの。IoT元祖とも言うべき坂村教授が、このブームをどのように見て、来るべきIoT社会をどう作っていくべきなのか、聞いた。

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研究館の建物自体がIoTの実験対象

――坂村氏は現在、「東京大学大学院情報学環ダイワユビキタス学術研究館」を拠点として研究をされていますが、どんな研究なのか具体的に教えてください。

坂村 この建物は、建築のためのIoTについて研究する場として、2015年5月に大和ハウス工業の寄付によってできました。建物の中の照明や空調などの設備機器が全部ネットワークにつながっていて、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)で制御できるようになっています。APIとは、あるシステムを外部のプログラムから制御するためのインターフェースのことです。

 APIをスマートフォン(スマホ)などから、インターネットを通して機器に送れば部屋の照明をつけたり消したり出来ますし、APIによって部屋の温度や湿度を読み取れる。そのやり方を関係する人に公開しているので、オープンAPIと呼ばれています。昔のホームオートメーションでは住宅のネットワークLAN(ローカルエリアネットワーク)に照明と空調をつなげて、ローカルなハウスサーバーで制御する構成でしたが、ここでは全部インターネットに直結しており、クラウドから直接制御します。インターネットにつながればどんな機器からでも、どこからでも制御できる。それがこの建物の特徴になっています。

東京大学大学院情報学環ダイワユビキタス学術研究館。外観は、建築家・隈研吾氏の設計。五輪の舞台となる新国立競技場のように、木をふんだんに使っているのが特徴(画像提供:東京大学坂村健教授)

東京大学大学院情報学環ダイワユビキタス学術研究館。外観は、建築家・隈研吾氏の設計。五輪の舞台となる新国立競技場のように、木をふんだんに使っているのが特徴(画像提供:東京大学坂村健教授)

東京大学大学院情報学環ダイワユビキタス学術研究館。IoTアーキテクチャは坂村健教授。建物自体が実験対象なので、常に新しいデバイスを取り付けるために、天井は張っていない(画像提供:東京大学坂村健教授)

東京大学大学院情報学環ダイワユビキタス学術研究館。IoTアーキテクチャは坂村健教授。建物自体が実験対象なので、常に新しいデバイスを取り付けるために、天井は張っていない(画像提供:東京大学坂村健教授)

 まさに、IoT時代の建物、世界的にも有名になりました。ちなみに、この建物の総合プロデュースは私がやりましたが、建築部分の設計は新国立競技場の設計を手掛ける隈研吾さんです。隈さんは東大でも教えているし、友人ということもあり設計に参加してくれました。

 この建物自体が研究のプラットホームになっているため、廊下などの天井は張っていません。新しいセンサーなどデバイスを実験するために設置する度に天井をはがしたり、またつけたりするのは、お金がかかるし、面倒くさいというわけです。

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