古川修の次世代自動車技術展望

自動車のIoT化、コネクテッドカーへの期待 芝浦工業大学 特任教授 古川 修 氏

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 それゆえ、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)などの新しいHMIを自動車に適用するための新たな技術開発も必要となるのだ。

 HMI技術は例え自動運転が実用化されても不要とはならない。むしろ自動運転の開発に伴ってますます重要な技術となってくるはずである。例えば、レベル3の自動運転でシステムに不具合が発生してドライバーに運転代替を促すときには、覚醒度が低下しているドライバーへ確実に伝えることができるHMIが必要となる。また、手動運転走行から自動運転走行へ切り替えるときのHMIも、安全を十分保証できるようにその仕様を検討する必要がある。このように、HMI技術は自動車のさらなる進化を支える基盤技術となるはずだ。

自動車は情報端末に成り下がる?

 IT業界からは、自動車は自動運転に近づくとPCのプリンターと同じように単なる情報端末になる、という意見が多く出てれる。しかし、PCと自動車では基本機能が大きく異なっている。PCは機能不全に陥ったら再起動して復帰させればよいが、自動車の機能不全は交通事故につながるので、再起動は不可能だ。

 自動車では頭脳・情報と移動機能が一体となって信頼性を保証できることが必要なので、自動車だけ頭脳と切り離した端末と考えることはできない。カー・テレマティクスがさらに進展して、自動車のつながる先が拡大するにつれて、柔軟性を持たせながらドライバーに安全・安心なサービスを提供できるような、一体型構造の構築が必要となる。

 そのためには、交通事故削減に向けて技術の蓄積を重ねてきた自動車産業が主体となり、IT業界と連携すべきと考える。その前提で自動車の統合的な情報通信化がさらに進むことで、ドライバーと社会に様々な価値創造がもたらされると期待したい。

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古川 修(ふるかわ よしみ)

芝浦工業大学大学院理工学研究科 特任教授・公益社団法人自動車技術会フェローエンジニア。1948年東京生まれ。東京大学工学部卒。1977年東京大学大学院工学系研究科博士課程単位取得退学。1977年本田技術研究所入社。1987年に世界初の乗用車用4輪操舵システムを実用化し、その後自動運転システム、2足歩行ロボット、先進運転支援システムなど、革新技術の研究開発プロジェクト責任者を務める。2002年芝浦工業大学教授。SO/TC204/WG14のコンビーナー(国際議長)を2回務め、ITS(高度交通システム)における運転支援システム技術の国際標準化に取り組む。車両運動制御に関する国際学術シンポジウムAVEC(1992)、自動車交通予防安全技術に関する国際学術シンポジウムFAST-zero(2011)を立ち上げる。2013年から現職。公職としては、国交省の先進安全自動車(ASV)推進検討会、警察庁、特許庁などの先進自動車技術に関する検討会の委員。表彰は、1991年発明協会より全国発明表彰で内閣総理大臣賞受賞など。趣味は、ブルーグラス、カントリー、ジャズなどのバンド演奏、そば打ち、日本酒蔵巡りなど。主な著書は「自動車の百科事典」(共著:丸善)、「ヒューマンエラーと機械・システム設計」(共著:講談社)、「クルマでわかる物理学」(オーム社)、「自動車のしくみパーフェクト事典」(監修:ナツメ社)、「蕎麦屋酒」(光文社知恵の森文庫)、「世界一旨い日本酒」(光文社知恵の森文庫)。

</div>キーワード:AI、IoT、ICT、経営、グローバル化、イノベーション、ものづくり、技術、製造、経営層

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