古川修の次世代自動車技術展望

自動車のIoT化、コネクテッドカーへの期待 芝浦工業大学 特任教授 古川 修 氏

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 98年にホンダが「インターナビ」の名称で開始した通信ナビサービスでは、ナビを搭載した自動車数台の走行情報をセンター側で吸い上げて、それをデータ分析して精度の高い交通状況を推定するプローブ機能を持たせた。その交通状況の情報をその地域を走行している自動車に通信し、より正確な経路誘導を行うことなどができるようになった。

 トヨタも97年に「MONET」という名称の通信ナビサービスを開始し、02年にはインターネット情報サービスGAZOOと統合して、「G-BOOK」という新たなサービスを開発している。「G-BOOK」はさらに、2014年に「T-Connect」という名称で、通信データ処理システムを進化させて、様々なサービスを新たに展開している。

カーナビはカー・テレマティクスへ発展

 カーナビは通信を取り入れることによって、自動車が外部の社会と自由につながり、カー・テレマティクスという統合通信情報システムへと進化した。テレマティクスとは、テレコミュニケーション(通信)とインフォマティクス(情報工学)を合わせた造語である。

 カー・テレマティクスの情報統合化により、自動車の利便性が格段に増した。ナビの地図データは新しい道路が開設されるたびに、通信を用いて自動更新されるようになり、古い地図のままで目的地へ到達できないということもなくなった。走行中でドライバーの手が離せない状況であっても、音声で指示をすれば、近くのガソリンスタンドやレストランなど、必要な情報を自由に提供してもらうことも可能となった。

 事故や急病のときには、ボタンを押すだけで警察や消防署などとつながり、自動車の位置情報をもとに緊急車両を手配し、迅速な救急活動を受けることができるようになった。自動車の盗難に際しても、ドアをこじ開けるなどの異常情報が検知されたときには、持ち主に直ちに知らされる。万一盗難されてもその位置を追跡して警備員を派遣するなど、安心できる見守り機能も得ることになった。

 さらに、カー・テレマティクスのもたらした大きな成果としては、自動車がIoTの情報端末であるコネクテッドカーとなったことである。スマートフォンなどのほかの情報端末ともフレキシブルにつながるようになり、多数の自動車の走行情報データを分析して、様々なサービスに生かせるようになった。以前のコラムでも紹介したように、震災の災害時には、どの道路が使用可能かということを、その地域での自動車の走行データから瞬時に解析。インターネットを介して開示し、道路交通の混乱を避けることにも貢献した。

 また、これも以前のコラムで紹介したように、ADASにおいてもカー・テレマティクスによって得られた情報を活用しようという開発が行われている。例えば、カーブ走行時の速度超過警報システムでは、路面の状況やカーブの形状の情報が必要となり、道路インフラ側からの通信による情報提供が必須となる。信号情報や交通規制状況、道路工事の情報などを通信で得れば、より精度の高い運転支援が可能となる。

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