AI現場力

「デジタル大部屋」で能力を進化させる ローランド・ベルガー日本法人 代表取締役社長 長島 聡氏

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リアルにバーチャルを融合して現場の力に

 たとえば、マイクロソフトの「Holo Lens(ホロレンズ)」では、3Dホログラフィックを現実世界に混ぜ込んで表示することができる。リアルの世界にバーチャルの映像や情報を融合するMR(複合現実)という技術を使ったものだ。

 空間にYou Tubeやフェイスブックなどのさまざまな画面を貼り付けたり、3次元のバーチャル・ペットを自分の側において飼ったりすることができる。いろいろなチャートやデータをサーバーから自由に取り出して、空間に貼り付けたりもできるので、先ほどのデジタル大部屋やデジタルQCサークルを実現するツールとしても有望だ。

MR(複合現実)の技術を使う

 ホロレンズはエレベーターのメンテナンスなどにも活用されている。このシースルーの眼鏡をかけて作業をすると、どういう順番で部品を外すべきか、どの順番にねじを回せばいいのかという具体的な指示が映像で出てくる。これにより、作業効率が上がり、メンテナンス時間が削減。従来は5台しかできなかった保守点検が10台分できる、熟練者でなくても対応できるなど、数多くのメリットがあるという。

 キヤノンのMREALというデバイスも同じく、目の前の現実世界とCGを違和感なくリアルタイムに融合させる技術を用いている。建築分野であれば、内部構造までバーチャル化して、実際に室内にいるような感覚で、天井の圧迫感や光の入り方などを実寸大で確認することも可能だ。自動車開発であれば、試作車を完成させる前に、MR映像でハンドルやメーターを実寸大で確認し、デザインの微調整を図ることもできる。

 最近では、特に技術が複雑になり、カバーすべき範囲も広がっているため、担当者の知識が追いつかない状況が増えてきた。その分、バーチャル・リアリティによる手触りをもたせたり、必要な情報を必要なタイミングで届けたりするサポートの重要性が高まっている。実際に、マイクロソフトやキヤノンだけでなく、同様のデバイスを開発する企業、そして、導入する企業も続々と増えているのだ。

「かやの外」をつくらない場づくり

 みんなで価値創出に参加し続けてもらう熱量のある場をつくるには、どうすればいいか。特に、日常業務とやや離れたことにチャレンジする際には、いくらデジタル・ツールを駆使しても、場を温める工夫を入れないと価値創出のための活動は盛り上がらない。場を活性化させる要件は次の通りだ。

・スキマ時間にできる。

・自分自身の役に立つと実感できる。

・熟練者から初心者まで、それぞれが活躍できる。

・急に難しくなるといったレベルの断絶なしに、連続的に難易度が上がっていく。

・他の人と交流でき、人の役に立てる。

・人に頼りにされる。

・一定の習熟度に達すると、新しい役割に変わり、新たなチャレンジができる。

・落ちこぼれを出さないようにサポートする人がいる。

・組織体制と評価体系を場への貢献へ連動させる。

 楽しい、充実している、やりがいがあるなど、精神的な充足感がなければ、活動は持続しない。その点では、ゲームのノウハウが役立つかもしれない。他愛もないゲームでも、私たちは時間を忘れて熱中し、繰り返し遊ぶことがある。ゲームには、人を引き付け、虜にさせるノウハウが詰まっているのだ。

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