デジタル化で飛躍するASEAN

激戦のタイEC市場、「Gotcha!mall」が挑む

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大手流通も参加に前向き

 「Gotcha!mall」に大手ドラッグストアやコンビニ、レストランチェーンなど大手流通業が参加しているのも、「成果報酬」というハードルの低さだけでなく、客単価や来店頻度アップという確実な数字が見込めるから。同様の理由でタイの大手流通業も参加には前向きだが、サービスを開始する上では課題もある。

 「タイは良くも悪くもクーポン文化。価格志向が強く、見た目のお得感に非常に弱いため、クーポンがあふれかえり、「Buy2 Get1」(2個買ったら1個サービス)というサービスが氾濫している。ただでもらえるプレゼントやノベルティに群がる志向もあります。その中で「Gotcha!mall」がそうしたクーポンと全く違うのは詳細なデータ分析にAIやアルゴリズムを使った科学的なマーケティング手法であるからです。そのうえでユーザーの楽しさや店舗のワクワク感を演出するためにガチャのゲームだけでなく、スマホ画面のクーポンを見せて、店のスタッフがハート型のスタンプをポンと押すと、画面のクーポンに「USED」と表示される仕掛けもタイでは導入していきます」

 実際に体験してみたが、形のあるスタンプが画面の中のクーポンに押された瞬間に何か達成感のようなものがわきあがってくる。ガチャガチャを回して玩具を手にしたときと同じ感覚だ。サバーイ(楽しい)なことに目がないタイ人には受けそうな予感がする。

 「ドーパミンが出るような体験を提供して、お店に行くなら「Gotcha!mall」をやらないと損という状況を作るのが目標。スタンプはタイ限定の取り組みですが、成功すれば日本に逆輸入します」(小川氏)

 スタートに向けて、現在、松尾氏はタイ最大の小売チェーンであるセブンイレブンとの交渉も続けている。手応えは上々。ほぼ参加の見込みだという。

 セブンイレブンのタイ国内店舗数は1万店以上。20メートル歩けばセブンイレブンにぶつかるといっても過言ではない過密ぶりだ。

 「日本とは違って、タイではコンビニでまとめ買いする客が多く、生活の中へのコンビニの浸透度は日本以上」と松尾氏。「Gotcha!mall」の目標ユーザー数は100万人。セブンイレブンの参加が決まれば、目標に向けて大きく前進することは間違いないだろう。

 日本発のECがタイで成功した事例はまだ出現していない。バイクタクシーのドライバーから屋台の店主まで、老若男女ありとあらゆる層がスマホに夢中の国・タイで、「Gotcha!mall」がどうタイらしさを発揮していくのか。テストローンチでのKPI(重要業績評価指標)は日本と遜色のない結果が得られた。タイを拠点にベトナムやインドネシアなどASEANマーケットも見据えた「Gotcha!mall」の挑戦はいま始まったばかりだ。

(ライター 三田村蕗子)

キーワード:経営、企画、人事、営業、経営層、管理職、マーケティング、ICT、グローバル化、IoT、AI

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