デジタルトランスフォーメーションへの道

デジタル変革、ここ2~3年が成長と衰退の分岐点 セブン&アイ元CIO 鈴木康弘氏が語るデジタル変革の進め方

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 今、多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(デジタル変革)に取り組んでいるが、苦戦する場合が少なくない。ソフトバンクで新規事業の立ち上げに携わり、セブン&アイ・ホールディングスで取締役執行役員CIO(最高情報責任者)を務めたのち、デジタルシフトウェーブを創業した鈴木康弘氏(代表取締役社長)にデジタル変革の進め方を聞いた。

多くの経営者が「何からどう取り組むかわからない」と悩む

――デジタル変革に取り組む多くの日本企業が苦戦しているように思えます。なぜでしょうか?

 多くの経営者にお会いしていますが、「何からどのように取り組むかわからない」といったところに悩まれています。「デジタル変革の本質は何だろうか?」「当社が推進してメリットがあるのだろうか?」「システム構築ベンダーの提案を信用してよいのだろうか?」「社内に推進する人材がいない」といった疑問や課題があります。

 しかし、デジタル変革は恐れるものではありません。当社は、経営者支援や、ビジネスモデルの再構築、推進体制の構築や人材育成の支援、さらにはシステム構築プロジェクトの推進支援など通じて、多くの経営者の悩みに答えることができます。

――デジタル変革の本質をどうお考えでしょうか?

 当社は「デジタルシフト」と呼んでいますが、「デジタル変革」「デジタルトランスフォーメーション」も意味は同じで、その本質は「社会の変化とITの進化がもたらすビジネスの再構築であり、新たなビジネスの創出」です。

 日本では社会に「人口減少」「グローバル化」「格差拡大」といった変化が起きています。一方、ITにおいてはスマートフォンやクラウド、人工知能(AI)、あらゆるモノがインターネットにつながるIoTといった進化が生まれています。いずれも大きなものですが、それら社会の変化とITの進化が同時に進むことで、これまでになく急激で大規模な変化のうねりが生まれているのです。

 影響は既に現れています。流通業界ではアマゾン・ショックで大型チェーン店でさえ淘汰される時代に、金融業界ではフィンテックによって銀行員が大量に失業する時代に入ったといわれます。

――では、デジタル変革にどう取り組むべきでしょうか?

 企業のトップやその意思を受けた実行部隊が、デジタル戦略を事業の核に位置づけ、全社的に取り組む必要があります。

 デジタル戦略とは、デジタル化を核に事業戦略の転換を進めることです。長期的に、社会は時間・場所・量・方向性といった制約から解放されるように変化していきます。そこで、その変化に対応できるよう、ビジネスを作りかえていきます。「昔からこうだった」というルールは通用しません。

 ここ2~3年の取り組み次第で、各企業の将来が決まるでしょう。いわば各企業は、新しい成長をとげるか、衰退に向かうかの分岐点にあります。

 持続的に成長してきた企業はこれまでも、時代に合わせてビジネスを変革してきました。私がいたソフトバンクはヤフーの事業で成長し、携帯電話の事業でさらに大きくなり、最近はアーム(ARM)など半導体の事業に力を入れています。日本経済においても、高度成長期(1956年から73年)、バブル期(1974年から90年)、バブル崩壊期(1991年から98年)、ネット普及期(1999年から2008年)といった、それぞれの時代でビジネスを創出したベンチャー企業が変革を起こしてきました。今はカスタマーファースト(顧客第一主義)がコアとなる顧客中心期に入っており、また新たなベンチャー企業が生まれると思います。

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