長島聡の「和ノベーションで行こう!」

新しい価値観を生む「ゆるさ」と言葉の力 第3回 倉成英俊・電通総研Bチーム・クリエーティブディレクターに聞く

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

倉成 それはたぶん、どっちが良い悪いとかじゃなくて、何のために働いているか、その仕事の何が好きなのか、その意識の方向性が違うだけじゃないでしょうか。

日本発の「ゼロイチ」は生み出せる

長島 なるほど。最近、産業界ではインダストリー4.0、あるいはIoTという言葉がキーワードになってまして、その本質は異次元の見える化と圧倒的な機動力なんですね。価値の連鎖が見える、先の予想がしやすくなる。そういう世界で活躍する人に求められる資質というのは、一つは異質な価値観に興味がわく、もう一つは社会とオープンに向き合うということだと思うんです。倉成さんがおっしゃる「何のために働くか」という問いの答えはこの辺りにあるのかなと思います。

 ただ、先ほども申し上げたとおり、物事が複雑になるにつれて、自分のやっている仕事と、顧客が感じる価値との間がものすごく離れてしまった。これをくっつけないと、価値を意識することをあきらめる人がどんどん増えてしまう気がしています。

倉成 見つけた価値にどう名前を付けるか、表現するか、そこをチャーミングにすることを意識されてはどうでしょう。あと宣伝会議に行ってみるとか?(笑)。

長島 もう一つの分断として、日本は従来、カイゼンがものすごく強かった。一方、欧米を中心としたデザインシンキング的なイノベーションが世界を席巻している。この溝はすごく大きいなとあらためて思うんです。日本の生産性を高めるのに、カイゼンでできるのりしろは限られていて、デザインシンキングでやるのりしろはすごく大きい。どうすれば、そっちの世界に移れますかね。

倉成 各社にBチームを作るというのもオススメです。会社のメインストリームからわざと離れた立場で動けるルールを作るという方法ですね。あとは個人的に始めることですかね。個人的な思いからすべてのことは始まるわけで、思いがあって工夫があれば、人は集まり、ビジネスにつながるんじゃないでしょうか。

 ただ、先ほど長島さんがおっしゃった、カイゼンとデザインシンキングを分けることに意味があるかどうかは疑問です。デザインシンキングは所詮、米国で生まれたツールであり、それを譲り受けて2匹目のどじょうを狙っても、本当にゼロからイチを生むイノベーションはできないと思います。やはり、日本で生まれた新しいツールや工夫の上に、遊び心や勇気を持って独自の道を進んでいく。そこからゼロイチが始まるような気がします。

長島 確かに、考えてみると、かつてのソニーやホンダは独自の着想力で人々を驚かせていたと思います。1匹目のどじょうは日本にある。日本から生み出す。今日はいろいろと勉強になりました。ありがとうございました。

倉成 こちらこそ、ありがとうございました。

キーワード:AI、IoT、ICT、経営、人事、人材、働き方改革、イノベーション、ものづくり、技術、製造、経営層

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。