長島聡の「和ノベーションで行こう!」

新しい価値観を生む「ゆるさ」と言葉の力 第3回 倉成英俊・電通総研Bチーム・クリエーティブディレクターに聞く

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長島 そうですね。ただ、縛らないやり方で、どうすれば本質的な目的と個々の要素とを結び付けるか。そこはどうでしょうか。例えば、先ほどAPECのプロジェクトで、国の新成長戦略にすべての要素をひも付けたとおっしゃった。このシンプルな構造をどうすれば顧客や社員と共有できるのか。

ゆるいリーダーシップの大切さ

倉成 それは長島さんの方がよくご存じでしょう(笑)。逆に教えて下さい。

長島 いやいや。今はあらゆる物事が複雑になって、本質と個別の要素の間に何層もの階層があると思うんです。あまりに距離がありすぎて、たいていの人は本質を意識することをあきらめている。だから個別のことだけに完璧を求めて、視野が狭くなっている気がします。解決策はないでしょうか。

倉成 うーん、チャーミングな学級会の司会が必要ですかね。どういうことかと言うと、中学や高校のクラスで文化祭の出し物を決めるとか、クラスの目標を決めることを考えてください。先生が決めたり、生徒会の言うとおりにしたりするのは、みんなノーですよね。そこでチャーミングな学級委員は「どうする?」「こんな感じ?」みたいに、何となく全員を巻き込んで話を進めていく。ゆるいリーダーシップですね。ゆるさは僕たちの武器であり、キーワードです。きちんと決めないから、変化に対応しやすい。隙があるから、いろんなアイデアが入り込める。ゆるいとメンバーの人間性が出やすいので、人間らしい付き合いもできる。

長島 なるほど。私もゆるくやるというのは大事だと思う一方で、ふつうの組織ではどうしても本業意識というのが出てきちゃうんです。ゆるくやることには気持ちが入らない、空いた時間があればやればいい......。

倉成 本業のうちの何十%を使って、何でもやっていいというのはダメなんですか。

長島 うまくいく会社は少ないですね。業務時間の20%あげるからやってみてというと、「いやいや、残業20%やってますから」といって断られてしまう(笑)。高いモチベーションを持って参加させるのは難しいようです。

倉成 ゆるいと言っても、プロジェクトをリードするときのゆるさを指しているので、そこは混同しない方がいいですね。あとは、プロジェクトを進める際にゲームのルールを作ると、意外に面白いものができるということもあります。例えば、電通総研Bチームを立ち上げる時の上司からの指示は「2年で成果を出して。ただし、成果は自分で決めていいし、過程も自由」というルールでした。

 広告にも面白い例があります。今はTUGBOATという会社の代表をしている岡康道さんが電通にいたとき、ビクターの「ポケットムービー」のCMを担当された。そのとき、実際にCM映像を作った多田琢さんに指示したのが「中学英語で作って」というものだったと聞いています。別に英語を使う必要はなかったのですが、多田さんはその指示に沿って、ペンギンが踊りながら「ザッツ・ビデオ!」と叫ぶCMを作り、大ヒットしました。全く関係ない要素を入れることで、かなり面白いものができるということですね(https://www.youtube.com/watch?v=NqThGQlLsug)。

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