長島聡の「和ノベーションで行こう!」

新しい価値観を生む「ゆるさ」と言葉の力 第3回 倉成英俊・電通総研Bチーム・クリエーティブディレクターに聞く

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長島 その後、電通総研に移られて、今のBチームを立ち上げられました。Bチームというのはどんなコンセプトの組織なのですか。

倉成 僕はいろんな仕事をしてきましたが、自分の仕事でも、他人の仕事でも、いいなと思う仕事の共通点は、「新しい価値観へのシフトを手伝ったもの」なんですね。ただし、これまでは「お題」が降ってきてから打ち返していました。Bチームは、自分たちがピッチャーになって、いろんな球種を持って、みんながハッピーになることを仕掛けていく。そのための新しい価値観につながる変化の芽をたくさん持っている、そんな組織を目指しています。

「お題」が来る前に対応チームを準備

長島 もう少し具体的に言うと、どういうことでしょう。

倉成 電通には昔から一芸に秀でた人、突き抜けた人がたくさんいます。それは本業だったり、業務と関係ない私的活動、いわゆる副業だったりします。写真家の荒木経惟さん、芥川賞作家の新井満さんらが有名ですね。今も小説家、世界的DJ、釣りで世界中を旅する人、AIの研究者など、いろんな世界の専門家がいます。Bチームには今、こうした人生かけて趣味や個人的活動をしている人たちが40人くらいいるので、いろんな分野の価値観の変化がすぐにわかる。さまざまなお題に対応できる状態がすでにできている。これは非常に効率がいいわけです。

長島 お題が来る前からすでにチームができているというのは、まさに私もローランド・ベルガーでやろうとしていることなんです。狙いはイノベーションを量産することと、創造生産性を上げることの2つ。そのために専門的な知識やノウハウを持つ企業と手を組む戦略を進めていて、すでに4社と提携しました。オープンイノベーションに強いリンカーズ、独自の技術情報データベースを持つアスタミューゼ、工場などの省人化で実績のあるカイゼンマイスター、そしてAI技術開発のエクサインテリジェンスです。さらに、日本式のチャットの会社と、装置のシェアリングを行う会社との提携を予定しています。

 この6社と組んでいれば、クライアントから依頼が来たとき、すぐにイノベーションへのチャレンジが可能になるんじゃないかと思うんですよ。さらに、倉成さんのBチームと組んで、異質な刺激というか、異能のシャワーというか、そうした刺激を得られればいいなと思っています。伝える技術、コピーの力でも力を借りたいと思います。

倉成 人材の交流は絶対面白いと思います。先日、ローランド・ベルガーの方とBチームのメンバーが会合を持ったとき、ローランド・ベルガーの方が会議の内容をすごく簡潔にわかりやすくまとめられたそうなんです。その時、うちの社員は「すぐにまとめないでください」と言ったそうです。まだ先がよくわからない状態のとき、うちの社員は「どう転がせば雪だるまがもっと大きくなるか」と考えるんですね。ゴールを決めずに走り出す。そこがコンサル業界と違うのかなと思いました。

長島 なるほど。それは新鮮な見方ですね。

倉成 何かプロジェクトを始めるとき、縛るようで縛らない、ボトムアップとトップダウンの中間のような方法が、今の時代すごく求められていると思うんです。広告とコンサルという両極の能力を持った人材が混じったらどんなものが生まれるか、ワクワクします。

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