長島聡の「和ノベーションで行こう!」

新しい価値観を生む「ゆるさ」と言葉の力 第3回 倉成英俊・電通総研Bチーム・クリエーティブディレクターに聞く

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

倉成 あの話には前段があります。その少し前に会社が新規事業部を作ることになり、僕のように従来の広告の領域をはみ出したような人間が20人ほど集められたんです。そこで僕は、従来の広告表現を組み合わせてもイノベーションは生まれない、新しい引き出しを増やすには今の仕事を離れてリサーチした方がいい、と提案したんです。そしたら、「じゃあ、倉成さんはブラブラしててください」と言われまして(笑)。

長島 いい会社ですねえ(笑)。

同じ予算でもアイデア次第で化ける

倉成 それでブラブラしていたら、知人を通じてある勉強会で、審議官を紹介されたのです。その方から、勉強会をやるから講演してほしいと言われて、気軽に「ああいいですよ、ところでお題は何ですか」と聞いたら、APECだったのです。何それ!?と思いましたが後の祭り。3週間後に40分のプレゼンをすることになりました。

長島 それは大変ですね。どんなプレゼンをされたんですか。

倉成 テーマは「日本が議長国として発信すべきメッセージとは」。僕はほとんど知識がなかったので、役所の友人や知人など専門家5人に話を聞いて素材を集め、自分なりの家を建てて、こんな風に発信してはどうかと話したのです。その前に、まずは参加国の文化を知るべきではないかと思い、21カ国・地域の現地で流れているテレビCMを集めて編集して、プレゼンの冒頭に流しました。

長島 ほおー、それは受けたでしょう。

倉成 ええ。終わった直後に、「もったいないから外務省でもしゃべってくれない?」と(笑)。当時は民主党政権で、予算は仕分けで半分にカットされ、時間もなくて役所の方も悩まれていた。その後、コンペを経て、総合プロデューサーを引き受けることになり、カリスマバイヤーといわれる山田遊氏や、アーティスト集団チームラボ代表の猪子寿之氏といった若く才能のある人材を集めて、プロジェクトデザインをまとめていきました。会場のデザインなどすべての要素を国の新成長戦略という大目標にひも付けて、ジャパン・プレゼンテーションを戦略的にやったのです。

 心がけたのは、同じ予算でもアイデア次第でいくらでも化けられるということ。例えば、仮に予算が100億円だったとすると、国民1人100円を出す計算ですよね。それを数年後に105円にして戻す戦略を立てるべきだと考えました。仮説を立て、コンセプトを練り、世の中を面白くすることを考える。広告を作る時と同じ方程式をそのまま当てはめたら、うまくいきました。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。