デジタル変革マーケティング

消費者視点とビジネス視点を両立するには 横山隆治、内田康雄

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(2)「資産」構築の発想の欠如

 KPIの考え方は、ある評価期間内にその目標を達成できたかどうかで、企業活動の結果に白黒をつけられるようにすることに特徴があります。一方、重回帰分析などで何が売上にどのくらい貢献したかを見ると、短期的な広告投資はあまり効いていないことが多いことも分かっています。

 そもそも施策の効果とは、短期ROIという「フロー」の効果のほかに、再アプローチ可能な顧客リストの数を増やすといった「コミュニケーション資産の獲得」や、効果を定量化することが難しい「ブランド力の増強」など、様々な「資産」を蓄積する効果があります。

 もし、それが一切ないとすれば、施策の実施が終わった途端に効果がゼロに戻ってしまい、企業としての売上は元に戻ってほとんど上がらないというのに等しくなりますが、実際はそうではなく、何らかの形で目に見えない「ブランドの資産」に還元されていると考えることが自然です(図表2)。逆にソーシャルメディアで一度「炎上」した企業が、その後企業の「ブランド力」を回復させることに非常に苦労するように、です。

図表2 「フロー」と「ストック」

 つまり、「ビジネスが求める短期の時間軸と、マーケティングの時間軸は異なることがある」。ではそれを認めた場合、どの程度に設定したときに、全体最適のプロセスはどうあるべきか。そもそも、マーケティング活動がデジタル上に移行していけば、「企画」と「プロジェクト」を組み合わせるキャンペーンのモデルから、年間フローでマーケティングを可視化・分析し、定常的に操作・運用するモデルに移行することもできるでしょう。

 このようなテーマをしっかり議論して、PDCAを通じて組織横断の指標を確立することが、ある意味マーケティングをデジタルで再定義する上での最大のテーマになります。

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