ダイバーシティーマーケティングの時代

「日本」を発信するプロ集団が重視する多様性とは? Fun Japan Communications 藤井社長、稲川COOとの座談会(後編) アクセンチュア 製造・流通本部 秦純子氏、高木研太郎氏

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 この3つの強みを掛け合わせることで、これまでにないスピード感と精度で、外国人向けデジタルマーケティングのサービスを提供しています。

 従来、日本の企業や自治体のみなさまが行う外国人を対象としたマーケティングは、海外の現地で広告・イベントの展開やビラ配布などを行うのが普通でしたが、施策の成果が見えないという課題がありました。セミナーやイベントは盛り上がったが、それが最終目的である日本製品の販売や日本への誘客につながったかの効果が定量的に把握できませんでした。そして、それがわからないから、次の施策につながらない――という悪循環があったのです。

 それに対して我々の事業では、コミュニティーを活用した調査、製品・サービスのプロモーション、イベントへの誘客などの結果が、数値化して把握できるうえに、コストも従来の方法に比べて抑えられます。その上、短期間でトライ&エラーを繰り返しながらより効果的な打ち手を探ることができます。

 また、アジアの消費者との長期的な関係構築は、我々が一番得意とするところです。コミュニティーは今も拡大しており、会社を設立した半年前から比べても約100万人増加しています。

 我々のサービスでは、予想以上にきめ細かなマーケティング調査や施策を実施できます。例えば訪日外国人は、北海道と九州では認知度が大きく違います。それぞれのエリアには、訪日外国人の誘客を目的にした施策があり、施策の効果が出るまでの時間も違います。我々はそれらを踏まえて、単なるプロモーションや調査ではなく、購買や誘客といった「コンバージョン」という最終的な成果を得るまで長期的に日本の企業や自治体の皆様と施策を展開し、PDCAを繰り返します。

 北海道と九州の例のような、地域による「違い」を具体的にどうやってテーラーメードして個別の調査や施策を作成していくのでしょうか?

藤井 まず、「Fun!Japan」のコミュニティー内で地域の認知度や関心の高い観光地や商材を調査し、その地域の"売り"を探っていきます。例えば、沖縄であれば、きれいな海がアジアの人にうけるのか、おいしい郷土料理がうけるのか、お酒がうけるのかといったところを、我々のコミュニティーでクイックリサーチします。それでアジアの消費者の関心の高い情報をSNSで拡散します。アジアの消費者は、自分が興味を持った情報の拡散度も高いのでソーシャルで広く情報を拡散した上で、現地のイベントや販売トライアル、訪日旅行キャンペーンといった購買・来日行動につながる施策を展開していきます。最終的にはその地域のファンになってもらい、特設サイトを構築し、現地の消費者との持続的な関係を築きます。

 この「クイックリサーチ」「ソーシャルでの情報拡散」「購買・来日行動の促進」「持続的な関係構築」といったカスタマージャーニーを鑑みた4段階の施策を、アライアンスパートナーのリソースも使わせていただきながら、一気通貫で提供できるというのが、ほかにないサービスであると思います。

各国の文脈に合うようにメッセージ自体を変える

 他社が似たようなサービスを実現しようと思えば、今はできるのでしょうか?

稲川直樹氏(Fun Japan Communications COO(最高執行責任者))

稲川直樹氏(Fun Japan Communications COO(最高執行責任者))

稲川 できると言えばできますが、スピードが勝負だと思っています。我々は、デジタル化の波にうまく乗り、アジアの特定の国・地域に着目して、他社より早くコミュニティーの組織化に取り組み、事業を開始しました。これはまず大きな特徴です。他社が同様のサービスを始めても弊社がスピードを緩めなければ優位性は保てると考えています。

 また、アジアの特定の国・地域に着目しながら、きめ細かなサービスを展開しています。例えば訪日外国人客を誘客する施策の1つとして、人気の日本商品について、現地の有力な店舗と日本での価格差を調査し、「これだけ安い」というのを訴求します。この他、SNSで発信するメッセージについて、一般的な翻訳ではなく、その国の文脈に合うようにメッセージ自体を変えたり、補足情報を変えたりすることで、コンバージョンが大きく改善します。

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