ダイバーシティーマーケティングの時代

SNSがアジアからの訪日外国人を呼ぶ Fun Japan Communications 藤井社長、稲川COOとの座談会(前編) アクセンチュア 製造・流通本部 秦純子氏、高木研太郎氏

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外国人好みのビールの泡の厚みまでわかる

 外国人に対するインサイトとはどのようなものでしょうか?具体的な例を教えてください。

稲川 当社では訪日外国人の事業拡大に向けたヒントを得るための市場調査サービスを提供しています。例えば、各国現地消費者に刺さる地域・商品の差別化ポイント、新製品に加えて欲しい機能の優先順位、居酒屋に集客するための成功要因など、お客様の問題意識に応じてターゲット顧客を選定して生の声を拾います。

 かなり細かいところまでわかるのですね。

藤井 複数の会社が共同利用するデジタルマーケティングプラットフォームの重要性は年々高まっていると感じます。訪日旅行が団体旅行中心だったころは、旅行者に日本製品を売り込む場合、現地の旅行会社に行って、特定の店舗へ寄ってもらうように交渉することで足りていました。今では訪日旅行の形態が多様化してLCCを使った個人・家族旅行が増えているほか、訪問国の情報をSNSやウエブで自ら取得して訪問先を決めるようになっています。こうなると1つの会社や自治体では、購買や誘客に繋がる効率的な施策が実現できないため、日本の企業や自治体には、タッグを組もうという雰囲気が広がっています。

高木 そこはFJCの事業コンセプトに通じます。

高木研太郎(アクセンチュア 製造・流通本部 シニア・マネジャー)

高木研太郎(アクセンチュア 製造・流通本部 シニア・マネジャー)

稲川 消費者に対するインサイトやエンゲージメントは、コミュニティーのようなまとまった接点がないと得られませんが、そうした接点を実際に作ろうとすると、いろいろな機能が必要になります。1社では十分な機能が用意できないなら、異業種の企業が集まってエコシステムを構築して、不足する機能を各社が互いに補い合って完全なものにしていこうというのが当社の今の立場です。今後は多様な企業とのアライアンスを次々と発表していく予定です。

 外国人が日本にいらして家電量販店で家電を買うのであれば1社でも実現できると思いますが、これからは訪日外国人も、エコツーリズムや、歴史名所ツアー、医療ツーリズムなど多様な形態の旅行を求めるでしょう。そのとき、特定の業種の1社や特定の自治体だけでは、充実したものを用意することは困難です。その意味では、FJCのようなプラットフォームの展開は、エコシステムを通じて発展していくビジネスモデルだと思います。

稲川 インサイトやエンゲージメントに関して補足しますと、我々はアジアの中でも「親日アジア経済圏」と社内で呼ぶ市場に重点をおいています。これはタイ、インドネシア、マレーシア、シンガポール、ベトナムといった近年成長著しいASEAN地域に台湾を加えた国々で構成され、日本に対する好感度が比較的高いことが特徴です。

 昨今の訪日外国人は、ほとんど中国の方々だと思われているようですが、実はASEANを中心とした「親日アジア経済圏」の訪日旅行者数のほうが多いです。この傾向はしばらく変わらないと見ており、我々は中国人以上に「親日アジア経済圏」の人々のインサイトやエンゲージメントの獲得に注力していきます。

 「親日アジア経済圏」では訪日旅行者数が多いだけでなく、日本企業がインバウンド/アウトバウンド事業を進める際も、成長性や親和性が高いと言えます。日本企業はまず、このマーケットを重点的に攻めるべきです。

 我々コンサルタントも、お客様の海外事業戦略を支援する際に、政治的なリスクや投資対効果を重視しますが、そうした視点とも通じますね。

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