ダイバーシティーマーケティングの時代

SNSがアジアからの訪日外国人を呼ぶ Fun Japan Communications 藤井社長、稲川COOとの座談会(前編) アクセンチュア 製造・流通本部 秦純子氏、高木研太郎氏

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 なぜ、アジア人の日本に対する興味や関心はそれほど高いのでしょうか?

稲川 理由は2つあります。

稲川直樹氏(Fun Japan Communications COO(最高執行責任者))

稲川直樹氏(Fun Japan Communications COO(最高執行責任者))

 1つは、日本人がこだわってきた製品・サービスのクオリティーが高く評価されていることです。長らく、日本の製品・サービスは海外ではオーバースペックでコスト高と言われ、結果的に苦戦してきました。それが現在ではアジアの成長に合わせて、コストパフォーマンスが改善され、日本の製品・サービスのクオリティーがアジア市場に展開しようとするときの競争力の源泉となり、ショッピング目的の旅行者を呼び寄せるほどになったのです。これは大きなチャンスと見ています。

 例えば、訪日外国人、特に中国人は、日本製の普通のボールペンをよく購入しています。書き心地が滑らかでインクがなかなか切れないためで、アジア各国でこうした製品はなかなか購入できないのです。日本人にとって当たり前の品質が海外では当たり前ではないのです。

 もう1つは、アジアにおけるSNS熱が驚くほど高まっていることが理由として挙げられます。特に台湾人は、旅行中の観光地や食事や体験などを自撮りしてSNSにアップするために日本に来ているのではないかと思うほどです。SNSで共有することで、友人・知人の訪日欲を促しているという流れもできています。

 1つ目の理由のように、アウトバウンド事業としてこれまで成果が出なかった、高品質の日本製品や高いホスピタリティーに支えられた日本のサービスが、アジア人の訪日旅行に対する動機になっているのは興味深いですね。

稲川 アジア各国が経済成長を続け、円安も進んだので、日本とアジア各国の賃金差が縮まっており、日本の製品やサービスに割安感が出ているようです。最近では日本の賃金のほうが安い場合もあると言われるほどですよね。

 2つ目の理由として挙げたアジアのSNS熱ですが、日本でも、話題のレストランに行くのはSNSに写真などを載せるためだという人もいます。

稲川 アジアのSNSに対する受容性・活用度は高く、日本人の感覚よりもはるかにSNSが利用されています。このあたり日本人の感覚でマーケティングを捉えると見誤ると思います。

 アジアでも若い世代ほどSNS熱が高いのでしょうか?

稲川 ASEAN(東南アジア諸国連合)各国は平均年齢が若いので、若い人のSNS熱が高いという言い方はできますが、日本ほど年齢によるSNS熱の差はないと見ています。例えば、FJCのサービス利用者は、年齢が上がるにつれて母数が多くなっています。

インバウンドとアウトバウンドは表裏一体

高木 先ほどのように、日本製の普通のボールペンが訪日外国人に売れているという話を聞くと、日本の製品やサービスを海外へ提供するアウトバウンド事業もやり方次第では十分成功しそうですね。インバウンド事業の拡大が巡り巡ってアウトバウンド事業を拡大する可能性があります。

稲川 十分あり得ます。さらに言うと、ソーシャルメディアなどのデジタル技術を積極的に活用することで、アウトバウンド事業の展開方法を大きく変えることができると我々は考えています。

 アウトバウンド事業では従来、小売であれば現地での出店が、メーカーなら事務所・営業所・工場といった拠点の現地での展開が必要でした。それが今は、SNSで拡散し、日本で販売したり、EC(電子商取引)サイトを活用したりして、小規模・短期間で事業をスタートできます。その反応・成否に応じて、現地に拠点を展開して、本格的なグローバルサプライチェーンを構築するといった戦略が採用できます。

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