都道府県格差

なぜ?幸福度1位の都道府県は福井県 橘木 俊詔 氏、造事務所

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 日本が格差社会に入った、という認識を多くの国民が共有する時代が到来した。結果の格差である所得や資産の格差のみならず、教育・雇用・昇進など機会の平等とされる分野における格差も問題視されるようになった。たとえば、親の所得の低い子どもが望むだけの教育が受けられないのは、教育の機会均等がないとみなせる。人々の間で「格差婚」という言葉が流行したが、これはまさに多くの人が格差に関心を寄せた結果、生まれた言葉である。

 格差は語られるようになったが、格差を是正すべきかという点になるとまだ合意は得られていない。格差はできるだけ小さいほうがよいとの意見がある。いっぽうで、経済を強くするには有能でがんばる人に高い所得を与えて、もっと働いてもらって高度成長を図らねばならないとする意見もある。これに賛成する人は財界や保守政治家に多い。さらに、低い所得に甘んじている人は有能でなく怠けているからだと、自己責任に帰する意見も多い。さらに、世の中に格差は存在しているようだが、それにあえて目を閉じて、無関心を装う人もなかにはいる。

 本稿は世の中に存在している格差のうち、日本の都道府県間に実在するさまざまな格差に注目して、その実態を明らかにする。それこそ各種各様の数多い変数を取り上げている。そのうちのいくつかを列挙すると、県民所得の格差は当然としても、小・中学生の学力・体力、大学進学率、塾比率、三世代住居の比率、労働時間、婚姻率、企業における管理職や県議会議員数における女性比率、平均寿命や病院数、住宅1軒あたりの敷地面積、自動車保有数、などなど。

 県民の日常生活の質に関する情報について、どの県が恵まれていて、どの県が恵まれていないかを、明確に統計数字を示して、都道府県での格差の有用な実態を提供している。

 これ以外にも、たとえば産婦人科医はどこの県に多いか、新聞を読む人の多い県・あるいは少ない県はどこか、映画を見る人の多い県はどこか、老人ホーム比率、民生委員数、自治会数などの違いは県によってあるか、といった日ごろ私たちの知らない事項についてまで、本稿は都道府県格差を紹介しているのであり、眼からうろことはこのことと感じられる。

 とくに本稿で強調すべきことは、福井県が多くの指標においてベストないし上位に位置するということ、それに加えて、富山・石川という北陸三県が全体の生活水準が高いということが示されている点に特色がある。しかも生活水準の高さが福井県民の幸福度を日本一にしていることも示されている。

 でも、これを知って、日本国民が福井県に移住したいと願うかといえば、必ずしもそうではない。東京都民は所得は一番高いが、住居面積の狭さや交通地獄、あるいは物価高という住みにくさは抜群に高い。とはいえ、東京における刺激のある生活を好む人も多く、福井県に移住したいと思う人はどれほどであろうか。読者はこれら各県の特色を知ることによって、自分にふさわしい都道府県はどこかを考える資料にしてほしい。さらに地方の人々も自分の地域に人が移り住んでくれて、活気のある県にするには、どういう政策がふさわしいかを考える参考にしてほしい。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。