営業力 100本ノック

デキる営業はなぜ顧客をその気にさせるのか? 東京工業大学大学院特任教授、レジェンダ・コーポレーション 取締役 北澤 孝太郎

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2.取引先の担当者やその上司のことをどこまで調べましたか

●人ががんばってこられたことに温かい視線を向ける

 関係構築するうえで、相手のことを詳しく知ることはとても大事なことです。特に、いい関係を築きたいと考えるならば、相手のがんばってきたところに注目し、そこに関心を寄せたり、共感したりすることが必要になってきます。例えば、地方出身で、大学入学を機に東京に出てきて、そのまま東京で就職し、ある企業の部長にまでなった方を想像してみてください。東京に出てくるときはとても不安だったかもしれません。また就職し、結婚し、子供を育てる過程で、親の助けを借りずに、奥さんと二人きりでがんばってきて、しかも企業の中でも、責任ある地位に就いていることだけでも、何かしら苦労があったことでしょう。また、そのポジションになるまで、会社の中でいろいろなことがあり、何らかの修羅場を乗り越えてきたかもしれません。

 まさにその人に歴史ありというところでしょうか。人は、何でもないことのように見えても、自分なりにとてもがんばってきた、またがんばっているところに触れられると、思わずいろいろと話をしたくなるものです。人間関係を築こうと思ったら、商談の前にそこに注力しましょう。

●徹底的に傾聴することでいい人間関係が作れる

 傾聴する技術というのは、何も相手のことを知るためだけに使うものではありません。人は、自分のことを徹底的に知ってもらった人にのみ心を開き、その人のために何かしようと思うものです。「士は己のことを知る者の為に死す」という言葉が中国の歴史書『史記』にあります。傾聴するとは、まさに自分のしたいことをやってもらうための技術でもあるのです。その傾聴をやりやすくするのが、相手の担当者やその上司のことを、徹底的に調べるという行為です。

 調べるといっても、スパイのように嗅ぎまわるのではありません。いろいろな方を通じて、彼らがどんな人で、どんなことにがんばってこられたのか、また今どんなことに取り組み、何を突破しようとしているのか、そんな前向きなことを聴かせていただくのです。初めて訪問したときに、事前に調べたことをステップにして、次回以降、ゆっくり聴かせていただける時間があるときに、もっと詳細に、その人のことについて傾聴しても構いません。相手も人間です、自分のことに関心を寄せてくれる人と思われたなら、よい人間関係が築けるに違いありません。

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