人・組織がよみがえるマネジメント

「腹落ちしてない社員」は、すぐ変革を忘れる マネジメントソリューションズ 横江真由美 氏

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 一見、指示に従って動いたとしても、社員一人ひとりが自主的に動けているわけではないでしょう。指示を緩めると、社員の行動はすぐ元に戻ってしまうはずです。それなら指示を緩めなければいいのかというと、指示する側も、される側も疲れて嫌になるばかりです。

 これでは変革の効果が出なくて当然です。長い目で見ると、指示だけでは行動を変えられないのです。

 では、「行動」を長期的に変えて、習慣にさせるには何が必要でしょうか。

 それは社員一人ひとりの「感情」です。つまり、社員一人ひとりの「感情」に対する適切なアプローチこそ、変革に必要なものなのです。

 ただし、文字通り「一人ひとり」に個別対応したアプローチを実施するのは現実的ではありません。これからは、ダイバーシティーにふさわしいアプローチを通して、社員の「感情」に向き合う必要があるのです。

「感情」を動かす丁寧なコミュニケーションとは?

 社員の感情を動かす方法はいくつか考えられますが、基本的な手段として「丁寧なコミュニケーション」が最も有効です。このコミュニケーションの目的は社員の感情を動かすことですから、単なる情報伝達ではいけません。社員がきちんと理解し、納得できるように、「相手の状況を常に把握」しながらコミュニケーションをする必要があります。

 人の感情を動かすための丁寧なコミュニケーションについて、最も基本的かつ重要なポイントをいくつか挙げてみます。いずれも脳科学の知見に基づいています。これらのポイントを押さえるだけで、目に見える成果が表れると思います。頓挫してしまった前述のプロジェクトでこのような丁寧なコミュニケーションを実施していれば、もっと違った結果になっていたはずです。

(1)人(相手)が持っている情報と、自分が持っている情報は違うという認識を持つ

(2)人は知りたい内容しか理解しない

(3)人は知りたい時にしか理解しない

(4)人はたくさんの情報を一度に処理できない

(5)人は物事を「概要」から理解する

(6)人は難しいと思うことは理解しない

(7)人は同じ体験を通して共感する

(8)人は「なぜ変革が必要か?」「変革でどんないいことがあるのか?」などのメッセージを繰り返し伝えられないと忘れてしまう

 業務改革を実施する際の社員研修を例に説明していきましょう。まず研修を実施する際、内容にもよりますが、1回ですべてを説明するのではなく何回かに分けて実施した方がいいと思います。人は「なぜ変革が必要か?」「変革でどんないいことがあるのか?」などのメッセージを繰り返し伝えられないと忘れてしまうからです((8))。

 研修の第1回目は「概要」レベルの基礎的な内容にすべきです。難易度は低め、情報量は少なめにします。人は物事を「概要」から理解し((5))、人は難しいと思うことは理解しない((6))という、人間の脳が物事を理解する際の特徴に合わせたアプローチをすることが重要です。

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