人・組織がよみがえるマネジメント

「腹落ちしてない社員」は、すぐ変革を忘れる マネジメントソリューションズ 横江真由美 氏

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 変革の時代といわれ、変われない企業は存続が難しくなっています。だからこそ、企業は様々な変革プロジェクトに取り組んできたわけですが、その失敗確率は実に60~70%に達するといわれています。

 この数字をみなさんはどのように感じるでしょうか。おそらく「そんなに失敗しているのか...」と驚かれていると思います。なぜ、このような結果になってしまうのかというと、最も変えるのが難しい「人の意識・感情」に対して、ケアが疎かになっていたからにほかなりません。これが変革プロジェクトに失敗する最大の理由です。

予算の都合で「肝心なところ」を省き失敗

 変革のために、プロジェクトマネジメントプロセスをしっかり組織に定着させたいという相談を受ける機会が、過去にも、そして今でもよくあります。その目的は「プロジェクト型の組織に変えて、経営効率を高めたい」というものですが、どういうわけかプロジェクトマネジメントの方法論や支援ツールを開発することばかりに気をとられてしまうようです。このように手段が目的化した状況のもとでは、必ずと言っていいほど「人の意識・感情」に対するケアが疎かになってしまいます。

 ある変革プロジェクトでは、社員の意識を変えるために必要な活動を丁寧に実施しようと計画していたのですが、プロジェクトのスケジュールや予算の都合から取りやめになり、「社員には当面、細かく指示を出せばよい」と方針が変わってしまったそうです。プロジェクトの遅延や予算のしわ寄せは、常にこういう部分(効果が出にくく、結果が目に見えにくい、人や組織に対する活動)に来るものです。

 さらに悪いことに、組織のトップからメッセージを出すことすらなく、何の予告もなくいきなり現場社員へツールの使い方の説明をしてしまった、とのことです。

 結果は想像できますよね。現場の社員から猛反発を招き、そこから組織変革は遅々として進まなくなってしまいました。

 こういう事態は、本当によく起こります。素晴らしい構想にもとづいてプロジェクトを立ち上げ、せっかく新しい仕組みをつくったのに、それらが組織に眠ったままになっているのは大変残念なことです。「ウチでは起こらないよ」と思う方もいらっしゃるでしょうが、気をつけてください。変革プロジェクトの失敗確率は60~70%なのですから。

指示を出せば、みんな従ってくれるのか

 この例では、新しい仕組みを導入するときに「社員に指示を出すだけだった」ことが問題でした。そこには「行動が変われば意識が変わる。だから指示を出せばよい」という変な思い込みがあったと考えられます。「これまでだって指示を出せば、みんな従ってきたわけだから...」と。

 しかし、今はもう、そういう考え方が通用しにくくなっています。

 私たちは、日本企業では「あうんの呼吸」が通じ、的確な指示があれば同じように社員が動くと信じてきました。ところが実際は、同じ組織に属しているとしても、一人ひとりの考え方、感じ方、そして価値観が知らぬ間に多様化しています。つまりダイバーシティー(多様性)の中で、これまでのような「指示」や「ネゴ」だけでは、かつてように社員全員が一斉に動くことはできなくなってきているのです。

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