世代別人事マネジメントのすすめ

40代「管理職」の停滞をどう打破するか クレイア・コンサルティング 執行役員 ディレクター 橋本 卓氏

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 この会社は就職先として学生の人気が高く、優秀な学生を採用していることでも知られているため、他の企業と比較しても事務能力に長けた人が新任課長に多いことがうかがえた。ところが、この会社は過去に組織のフラット化に失敗して課長のポストを増やしすぎたこともあって、課長の役割は細分化・限定された業務の範囲にとどまり、実質的に少数の部長が組織全体の企画・構想や方向付けを担うという構造になっていた。

 課長を経て次長に昇進した人のレベルが低く感じたのは、課長に期待される役割がプレイヤーからマネジャーに脱皮する上で必要な視野の広さや視点の高さを要求するものではなかったためと推測される。新任次長の中には上級管理職として優れた素質を感じさせる人もいたが、全体の中ではごく少数であった。よほど意識を高く持って自らの役割を拡大し続けないと、マネジメント能力を進化させ続けることは容易ではないということだろう。

昇進機会の減少と研さん意欲の減退

 多くの企業では、部長など上級管理職の昇進は狭き門となっており、前出の会社のように部長に昇進するのは誰もが認める突出した人材である場合が多い。このようなケースでは、課長など初級管理職のポストが実質的に「上がりのポスト」と映るようになり、より高みを目指そうとする意欲を管理職に持たせ続けることは容易ではないと想定される。

 管理職の停滞感を増幅させる1つの要因が、人事制度の昇給の仕組みである。管理職の賃金制度は、勤続年数に比例して賃金が上昇しやすい「職能給」と呼ばれる賃金の仕組みから、実際に担う職務や役割に応じて賃金が変化する「職務給・役割給」と呼ばれる仕組みに移行した会社が多い。日本生産性本部「平成24年 日本的雇用・人事の変容に関する調査」によると、管理職の賃金制度に関して「職務給・役割給」を導入している企業の割合は1999年の21%から2012年までに79%と約4倍に増加している。

 一般に管理職に昇進すると残業代の支給対象外となるため、一時的に給与が減少することが多い。従来の職能給型の仕組みであれば、減収は一時的なものであり、いずれ給与は上がっていったが、職務給・役割給型の仕組みになると、ポストや役割が大きく変わらない限り、給与は頭打ちになってしまう。部長に昇進できそうな期待も持てず、一般社員の頃よりも責任だけ増えて給与が増えないとすれば、意識を高く持ってより高みを目指そうとする意欲が停滞することは想像に難くない。

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