世代別人事マネジメントのすすめ

50代「セミリタイア社員」をよみがえらせる クレイア・コンサルティング シニアコンサルタント 大浦 琢也氏

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(2)評価の給与への適切な反映

 複線型人事制度の中で、スタッフ管理職の役割が明確になり、適切な評価が実現されていれば、評価によって給与に差を付けることの理解を得やすい。求められている行動や能力発揮の実現度、また業績への貢献を適切に給与に反映することで、仕事への緊張感を持たせ、動機づけを図ることが可能である。

(3)評価の再雇用後の処遇への適切な反映

 定年延長によってではなく、再雇用制度によって60歳以上の社員を雇用している企業であれば、50歳以降の正社員時の評価と、再雇用後の処遇のつながりを明確にする、すなわち、「セミリタイア化」すると再雇用後の処遇が低くなることを、あらかじめ人事制度のなかで警告しておくことが、「セミリタイア化」へのけん制に有効である。

 現時点の再雇用制度自体が賃金水準を低く抑えている場合、思い切った処遇差を設定することが難しいことも多いが、うまく制度設計をすることで「セミリタイア化」への有効な歯止めとなり得るだろう。

(4)フォロワーシップ(上司を自律的にサポートする姿勢)の醸成

 特に新卒採用を中心に人材登用をしている会社における50代スタッフ管理職の大きな問題の一つは、自身と上司の関係性が、「先輩と後輩」から「部下と上司」に移行しきれていないことである。研修等の機会を通じて意識の変革を促し、50代スタッフ管理職にフォロワーシップを醸成させることで、上司のリーダーシップが効果を発揮しやすくなる。

 「セミリタイア化」した50代スタッフ管理職の再活性化にあたっては、個社の状況に応じて、これらの施策をうまく組み合わせながら、現場のマネジメントのなかで、新しい役割や責務を課していく必要がある。

 ただし、これらの施策がすべてうまく実行されたとしても、「セミリタイア化」した50代スタッフ管理職全員が再活性化される可能性は低い。

 「セミリタイア化」した社員には、たとえそれが企業や周囲からすれば納得しかねないものであったとしても、各々に「セミリタイア化」した理屈や正義があり、こうした施策がかえって「セミリタイア化」した社員の一部を、開き直らせてしまう可能性もあるからだ。また、「セミリタイア化」してから一定の期間が経ち、体力や気力の問題で、すでに再活性化が難しい社員もいる。

 その上で、少しでも成功の確度を上げていくための一つの解は、再活性化の可能性が比較的高い早期の段階から、フォロワーシップの醸成を行っていくことであろう。

大浦 琢也(おおうら たくや)
クレイア・コンサルティング株式会社 シニアコンサルタント

一橋大学経済学部卒業、早稲田大学ビジネススクール修了。都市銀行、外資系メーカー人事部門を経て、現職。人事制度改革、人事制度定着支援、企業再編に伴う組織・人事デューデリジェンス、人事制度統合、人材アセスメント設計等の分野で実績を持つ。(http://www.creia.jp/)

キーワード:経営、企画、経営層、人事、人材、働き方改革、管理職

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