この時代を乗り切るワークスタイル改革

「残業ゼロ」の向こう側にあった本当の働きやすさ ランクアップ 代表取締役 岩崎裕美子 氏

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業務を大胆に削りつつ「10分」のムダ取りにもこだわる

――業務効率化はどの企業も取り組んでいる課題です。ランクアップでの具体策を教えてください。

 例えば、会議資料の作成に1日費やしている従業員がいました。だから、そもそもの会議の回数を減らし、資料づくりは月1回と決めたのです。

 さらに細かく言うと、「社内のプレゼン資料を見栄えよくする」ことを禁止しました。1度打ったテキストに色を付けたりフォントを変えたりするだけで10分はかかりますよね。9時から17時30分までの勤務を徹底している会社にとって、「10分」の作業は重要です。それを「社内資料の見栄えをよくするため」だけに使ってほしくなかったんです。そんな思いで一つひとつの作業内容を見直し、システムで効率化できる業務は極限まで圧縮しました。

 もちろん、システム構築自体は外部のシステム会社にお願いしたのですが、基本的な要件定義はすべて私たちで行いました。どの業務工程を圧縮すれば作業効率がアップするかを熟知しているのは私たちです。ルーティンワークや煩雑な事務作業は、ほとんどシステム化しました。

 一例を挙げましょう。広告出稿媒体の管理です。ランクアップは通信販売をメインとしているため、雑誌やフリーペーパーに多くの広告を出稿しています。当然、媒体ごとに広告を扱う代理店も出稿金額も異なります。以前は、各代理店が知らせてくる出稿金額を、私たちの広告媒体管理表に手入力で転記していました。しかし、これでは非効率ですし、転記ミスも発生します。

 そこで、媒体ごとの広告出稿管理表を自動で表示するシステムをつくりました。これにより、入力の手間を大幅に削減しました。さらに、それまでは各代理店と紙ベースでやり取りしていた広告に関するデータをCSVファイル(エクセルファイル)形式で提出してもらうようにして、インポートできるようにしました。転記作業をゼロにできれば、入力ミスも、そこから派生するトラブルもなくなります。

 こうした投資は、経営の観点からも効果があると考えています。社員が資料作成に時間を割くことは、会社としても大きな損失です。時間は有限なのですから、社員の得意分野で頑張ってもらうほうが、会社にとっても社員にとっても幸せなんです。

――業務効率化の対策が「抜本的かつ徹底的」ですね。どのくらいの業務量を圧縮できたのでしょうか。

 例えば広告出向媒体管理のシステム化では、従来は8時間かかっていた入力作業を2時間に圧縮できました。このような徹底したシステム化と業務効率化によって、まず当初の目標である「17時30分の定時退社」を実現しました。

 さらにその後、東日本大震災が発生しました。余震の影響や電車の遅延を考慮して、「定時前の17時に帰ってもよい。ただし、17時30分までのお給料は支払う」という制度を暫定的に導入したんですね。会社としては1人当たり30分のお給料を"サービス"として支払い、「(30分の短縮業務にしたことで)業績の伸びが鈍化したら定時を17時30分に戻す」と通告したんです。

 でも、業績は堅調に伸びている(笑)。これも業務を効率化し、社員一人ひとりが「ムダな作業はしない」という姿勢を徹底していたからできたことです。今では、ほぼ全社員が17時に退社するようになりました。

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