この時代を乗り切るワークスタイル改革

「残業ゼロ」の向こう側にあった本当の働きやすさ ランクアップ 代表取締役 岩崎裕美子 氏

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 男女雇用機会均等法が施行されてから、ちょうど30年。結婚・出産後もフルタイムで働く女性は増えている。しかし、その労働環境が十分に整っているかといえば、そうともいえない。

 女性の活躍を阻んでいる要因の1つは「残業」だろう。どんなにやる気があっても、小さな子どもがいれば残業は難しい。時短勤務制度がない会社で早退すれば、隣の同僚に迷惑がかかる。そう悩んで退職する女性も少なくない。一方、会社側としては、残業をなくすと業績に響くのではないかと不安になる。

 これからのワークスタイル改革にとって「残業」は重要なポイントになる。

 この課題に対して、残業ゼロと業績アップを両立した例がある。化粧品ブランド「マナラ」を手掛けるランクアップだ。同社では、ほぼ全社員が残業しないどころか定時30分前の17時に退社する。それでいて、創業以来10年連続で増収を達成している。ランクアップの創業者・代表取締役である岩崎裕美子氏は、「ムダを省き、ルーティンワークを徹底的に自動化すれば、残業しなくても業績は上がる」と力説する。

 だが岩崎氏は、「残業ゼロの職場をつくるだけでは社員は納得しなかった。意欲を持って働ける職場づくりに大切なものが欠けていた」と打ち明ける。そこには自身の過去に対する猛省があった。社員から「会社に貢献したいと思わない」と言われ、初めて気付いたという。この問題を解決したことでランクアップは大きな活力を得て、さらなる業務効率化を進めることもできた。

 ワークスタイル改革と同時に、「自身のマインドも改革した」という岩崎氏。女性が幸せに生きる社会を目指してまい進する、その取り組みを紹介したい。

深夜残業できない社員は「お払い箱」!?

――全社員がほぼ17時に退社するという「残業のない会社」を目指した動機を教えてください。

 2005年にランクアップを設立する前、私は長時間残業が当たり前の「超ブラック企業」で取締役をしていました。その会社はベンチャーの広告代理店で、紙媒体の広告を扱っていたのですが、価格競争が激しくクライアントの奪い合いが日常茶飯事になっています。労働時間の長さが売り上げの増加に直結し、少しでも休んだら他社に負ける世界でした。

 そこでは社長以下、全社員が終電まで働いていましたから、社員は疲弊して、次々に辞めていきました。女性社員が多かったのですが、仕事と出産との両立はとても無理。いくら頑張って働いても、長期間労働から抜け出せない、希望のない会社だったんです。

 私は女性が働き続けることにこだわりを持っていましたので、社長に働き方を変える提案をしました。しかし、返ってきた答えは「残業をやめて売り上げが落ちたらどうするんだ」。これに対し私は反論しましたが、具体的な代案を出して社長を論破することはできませんでした。

 「残業しないと売り上げが落ちる」と考える社長を論破できないのであれば、「長時間労働をしなくても成立する新しい会社」をつくるしかないと思ったんです。

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