この時代を乗り切るワークスタイル改革

ヤフーが問い直す「最良の成果生む職場」 ヤフー 上級執行役員 コーポレート統括本部長 本間浩輔 氏

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――「情報の交差点」ですか?

 ヤフーは100以上のサービスを展開しているので、社内には多種多様なバックグラウンドを持った従業員がいます。異なる専門性を持った人との会話から仕事のアイデアが生まれることは多いですよね。ですから、自然発生的に会話が生まれるオフィス環境を目指しました。

 とはいえ、導入前は不安の声も上がりました。旧オフィスで机のジグザグ配置とフリーアドレスを試験的に実施した際には、「自分のスペースがない」「自分のモニターがのぞかれる」「デスクに資料を置いておけない」といったネガティブな意見もありました。しかし、いざ働いてみると、そうした懸念は払拭され、以前と比べてコミュニケーション量が2倍になったんです。特に若い従業員には好評で、「もう以前の環境には戻れない」と言っています。

―― フリーアドレス制だけでなく、オフィス以外での勤務も認める「どこでもオフィス制度」を利用できる回数も増やしましたね。

 はい。これまで1カ月に2回までだったものを、5回まで拡大しました。目的は、従業員の「労働生産性の向上」です。

 「労働生産性」を軸に従業員を評価する場合、重要なのは「何時間働いたか」ではなく「どんなアウトプット(成果)を出したのか」です。多くの日本企業は、従業員の時間を拘束し、その対価として給料を支払っています。しかし、「仕事に費やした時間とアウトプットの質」は、比例するとはかぎりません。

 最良のパフォーマンスを発揮できる場所は、個人によって異なります。たとえば、通勤時間にストレスを感じていて、自宅のほうがパフォーマンスを発揮できるのであれば、必要がないかぎりオフィスに出社しなくてもいいでしょう。会社がすべきことは、従業員が成果を出せるようにするためにはどうすればよいかを考え、ベストな環境を提供することです。

 「どこでもオフィス」は在宅勤務制度と思われがちですが、その本質は「従業員が望ましい成果を出すためなら、どこで働いてもよい」という考えを実践するものです。

――しかし、「会社にいれば仕事をしている」「社外にいればサボっている」と考える会社経営者も少なくありません。リモートで働く部下の勤怠管理はどうすればよいのでしょうか。

 今の時代、会社にいるからといって仕事をしているとは限りませんよね。そもそもフリーアドレスのオフィスでは、自分の部下が違うフロアで仕事をしているのが当たり前です。ですから、「きちんと働いているか」は、アウトプットで評価するしかない。本人がパフォーマンスを発揮できるのであれば、オフィスの中にいようが、コーヒーショップで作業をしていようが問題ではないのです。

 ヤフーの場合、従業員は週に1回30分程度、直属の上司と1対1の対話をする「1on1ミーティング」を実施し、1週間の経験を内省して次の仕事に活かすという取り組みをしています。その際に業務の進捗や成果も報告します。一部のオフィスでは、必要に応じて週報や日報を書いています。ここで残業時間が多いとか、パフォーマンスが発揮できていないという課題が見つかれば、相談しながら解決していきます。上司はまずアウトプットを見ますが、それだけで部下を評価しているわけではありません。こうしたコミュニケーションを通して、目に見えない「頑張り」も評価できるようにしています。

 センサーで従業員が社外のどこにいるのかをトラッキングしたり、PCのログイン状況で仕事をしているかどうかを確認したりすることは技術的にできますが、ヤフーではしていません。会社の自席に座っている従業員は監視していませんよね。リモートで働いている従業員だけ監視するのはおかしいと思います。

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