この時代を乗り切るワークスタイル改革

「在宅勤務」は、いま必要な企業戦略 テレワークマネジメント代表取締役 田澤由利氏

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 多くの経営者は「自社ではテレワークできる仕事がない」と考えています。まずは、その発想から変えなくてはいけません。ICTを活用し、既存の「会社に集まること」が前提に設計されているワークフローを見直さなくてはいけません。会社の会議室でやっていた定例会議をリモートからでも参加できるようにしたり、社内の回覧板で判子を押している書類やタイムカードをデジタル化したりすれば、わざわざオフィスに出社する必要はありません。

 もちろん、工場やお店での対面業務など、テレワークがしにくい業種業態もあります。しかし、ほとんどの企業には、バックオフィスと呼ばれる事務的な業務が存在します。「紙の資料が会社にある」という理由で出社しなければいけないのであれば、その資料を電子化しましょう。インターネットとパソコンがあれば、在宅でもできる仕事はたくさんあります。実際、テレワークに回せる仕事が担当業務の10%しかなかった人が、さまざまな工夫をすることで、業務の50%をテレワークに回せるようになったこともあります。

在宅勤務の活動状況はかなり把握できる

 勤怠管理やテレワーカー同士のコミュニケーションは、ICTを活用すればオフィスに勤務している時と同様に行えます。

 例えば、ある勤怠管理ツールでは、パソコン画面上の「着席」「退席」のボタンを押すだけで労働時間を計算し、在宅勤務者が「着席」(勤務中)としている間、パソコンの画面をランダムに保存します。管理者(経営者)が、いつでも簡単に確認できるようにしています。さらに、パソコンの前から席をはずしたり、他の人にパソコンをのぞき込まれたりしたら上司に連絡するといった機能を持つツールも登場しています。

 仮想オフィス空間を提供するツール(※)を利用すれば、在宅勤務者同士でも、「だれがどこで何をしているか」を可視化し、同僚の活動状況を把握できます。チャットや音声によるコミュニケーションはもちろん、ウェブ会議もできるので、会社にいる時と同様に社員同士が意思疎通できるのです。

(※)物理的に離れた場所にいる複数の社員が、パソコン上でコミュニケーションをしたり共同作業したりするためのツール。インターネット環境があれば、どこでも利用できるクラウドサービスとして提供される。テレワークマネジメントが利用しているツールでは、画面上に仮想のオフィス空間を表示し、「在席」(パソコンで作業中)や「不在」(パソコンの前にいない)といった各人の状況をひと目で共有できる。

――「テレワークにすると社員の生産性が低下するのでは?」という懸念も聞かれます。

 「在宅勤務は子どもを膝の上に乗せて片手間で働いているんだろう」と考えている経営者もいますが、それはまったくの誤解です。在宅勤務では、会社での業務と同様の業務ができる環境が基本です。小さなお子さんは保育園などに預けて業務を行います。

 また、多くの経営者は、「会社に長くいる」=「会社に貢献している」と考えているようですが、これも大きな間違いです。残業することが当たり前になっている社員の時間当たりの生産性は低いのです。長時間労働が評価ポイントになるなら、ダラダラ働いて残業代を稼ぐ社員ばかり増えてしまいます。これでは会社の業績にも影響します。

 時間当たりの生産性が一番高いのは、保育園に子どもを迎えに行く30分前のワーキングマザーです。むしろ時間に制限のある社員のほうが、時間当たりの生産性は高いのです。

 前出の勤怠管理ソフトを利用すれば、細切れの労働時間を積算できます。それを合算し、労働時間に見合う成果をきちんと上げていれば、会社勤務であろうが、テレワークであろうが会社は評価すべきなのです。

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