この時代を乗り切るワークスタイル改革

「在宅勤務」は、いま必要な企業戦略 テレワークマネジメント代表取締役 田澤由利氏

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 一方、テレワークを導入すれば、従業員が毎日決まった時間に出社する必要はありません。つまり、企業は在宅勤務者の定期代や、人数分のデスクスペースにかかるコストを支払う必要がないのです。必要最小限の規模のオフィスに移れば、テナント代も削減できます。

 実際、私たちの会社は東京都千代田区に東京オフィスを構えていますが、机が1つだけの小さな事務所です。しかし、毎日決まった時間に出社する社員は1人か2人なので、まったく問題ありません。現在、東京オフィス所属の社員は10人ほどいますが、毎日全員が出社するとなれば、ある程度広さのあるオフィスを借りなければいけません。それには、現在の数倍の固定費がかかってしまいます。

 もちろん、テレワークを導入するにはICT関連の初期コストがかかりますが、年間のオフィス維持費や交通費と比較すれば、テレワークのほうがコスト削減できます。そして、なによりも出産・育児や介護による退職を防げるのですから、人材獲得にかけるコストや社員の教育費も必要ない。このコストメリットは計り知れません。

「今までの働き方を変えるのが怖い」経営者たち

――メリットがあるのに、テレワークはさほど広がっていません。なぜでしょうか。

 「人材確保」「離職防止」「固定費の削減」といった課題に直面しているのは中堅・中小企業です。しかし、残念ながら危機感のない経営者も少なくないんですね。こうした経営者には共通項があります。それは「ICTへの関心が薄い」ことです。

 今は、ICTを活用すれば、遠隔地にいてもコミュニケーションしたり情報共有したりできますが、一定年齢以上の経営者はICTシステムの進化をあまり知りません。ですから、「ICTを使ってテレワークを...」と言った瞬間に思考を止めてしまうのです。今までの働き方を変えるのが怖いのかもしれません。そうした経営者には「在宅勤務制度を導入したら社員が喜びます」と言っても、なかなか伝わらないのが実情です。

 しかし、これからは高度成長期のような右肩上がりの経済成長は望めませんし、大企業であっても会社倒産や吸収合併などによる整理解雇は珍しくありません。今までの働き方を見直さなければ従業員が辞め、新しい人を雇用するのは困難になり、コストを見直さなければ高い固定費を払い続けることになる。いずれ会社は傾くでしょう。

 そうならないためには、企業の体質改善をして無駄なコストを省き、働く側にとって魅力的な労働環境を構築することが重要です。それを実行するかどうかを決めるのは経営者です。私はこうした企業の経営者に対し、「現状に対して危機感を持ってください。在宅勤務制度は、福利厚生ではない。企業が存続するための戦略です」と伝えています。

――テレワークを実践するためには、何が必要でしょうか。

 私たちは「システム導入支援」「ルールづくり」「業務改革」「意識改革」の4つの側面からテレワークの導入支援をしています。その中で、最も重要なのが意識改革です。

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