石川善樹の「脳とうまく付き合う法」

旅を設計することは、人生を設計することである 訪日外国人向けツアーなどをてがける 佐々木文人氏に聞く

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石川 話すより、「聞くガイド」が必要だというわけですね。食べ歩きといえば、少し前、米国のシェフが日本各地のいわゆるB級グルメを食べ歩いた旅行記の『Rice,Noodle,Fish』という本が話題になりました。それだけ日本の食材への関心は高まっているのですが、普通の旅行客はなかなかそこまでたどり着けません。もったいないなあと思います。

「狩り」の経験は人生の自信になる

佐々木 僕も普通の旅行では行けない場所をツアーに選ぶようにしています。ただ、日本の地方の観光地は従来から団体客向けのもてなしが中心で、個人が楽しめるコンテンツが少ないと感じますね。それと、地元の人は、桜やお寺、神社、温泉などを自慢したがるのですが、それらはどこにでもあります。外国人はやはり日本一とか、日本で唯一なものを求めます。

石川 工夫が必要だということですね。会社の事業はだいぶ軌道に乗ってきているようですが、これからやりたいことは?

佐々木 もともとゲストハウスを持ちたいと思っていたんですが、今は旅する人が地元の人と共同生活をして触れ合えるような「田舎ぐらしリゾート」的なものを作るのが夢です。テレビ番組の「ザ!鉄腕!DASH!!」のDASH村のイメージですね。それがきっかけになって人が集まり、にぎわいが生まれる場を各地に作りたい。

石川 僕はこの夏、孫泰蔵さんや井上高志さんといったベンチャー経営者の方々らが提唱するプロジェクト「Living Anywhere」に参加し、北海道の南富良野で数日間過ごしました。このプロジェクトは、どこにいてもストレスなく仕事ができ、快適に暮らせる、つまりライフライン全てが手に入る社会をめざすものです。ある夜、映画会を開いていると、地元の猟師さんが「シカを獲ったぞー」と言って持ってこられて、みんなで鍋にして食べたんです。その人は若い旅行客が来るたびに「一緒に猟をやろう」と誘ってるんだそうです。その話を聞いた時、「ああ、日本にも猟師になるという選択肢は残ってたんだな」とあらためて思ったんですね。

佐々木 と言いますと?

石川 自分で獲物を仕留めて、さばいて食べるという経験を一度すると、人生の大きな自信になると思うんですよ。畑を持って野菜などを作っている人も、人生に対する不安が少ないと言います。都会に住んで、何も作ってない生活を送っていると、お金がないことへの不安が無用に大きくなる。人生お金だけじゃないんですけどね。

佐々木 物々交換の文化を見直すべきかもしれませんね。収穫して余ったら分けて、足りなければ譲ってもらう。今のお話を聞いて、もう一つやりたいことを思い出しました。日本人と外国人がもっと密接に交わる旅を作りたいということです。外国人の日本旅行の満足度は、ツアーで一緒になった人と仲良くなったかどうかが大きく影響します。ガイドが話さなくても、旅行してる人同士が勝手に情報交換して盛り上がるわけです。

 例えば、日本人10人と外国人10人とガイド1人で旅行したら、ゲスト同士の結び付きがより楽しくなるんじゃないか。ツアーが終わっても、また飲みに行ったりとか。日本人にとっても、日本にいながら外国気分を味わえます。僕たちはこうした「結び目(ノット)」をたくさん作りたいなと思っています。

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