石川善樹の「脳とうまく付き合う法」

強さとは信頼、「ゲーム道」究める 東大卒プロゲーマー、ときど氏に再び聞く

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 予防医学者の石川善樹氏がさまざまな分野のエキスパートと対談しながら、脳とうまく付き合う方法を探る連載シリーズ。第17回のお相手は、東大卒のプロゲーマー、ときど氏。2016年6月に続き、2回目の登場です。前回の対談(勝利から「何を学ぶか」で強さが決まる)では、最強とは何かについて熱い議論を戦わせたお二人。この1年間、格闘ゲームのプロ選手による世界ツアーでめざましい活躍をみせてきたときど氏には、大きな心境の変化があったようです。

勝つだけでなく、内容にこだわる

石川 善樹氏(いしかわ よしき)

石川 善樹氏(いしかわ よしき)

1981年広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業後、ハーバード大学公衆衛生大学院修了、自治医科大学で博士(医学)取得。「人がより良く生きるとは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的な研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学など。講演や、雑誌、テレビへの出演も多数。NHK「NEWS WEB」第3期ネットナビゲーター。著書に『ノーリバウンドダイエット』(法研)、『うかつに仕事をはじめるな』『疲れない脳をつくる生活習慣』(ともにプレジデント)、『最後のダイエット』『友だちの数で寿命はきまる』(ともにマガジンハウス)など。

石川 前回の対談では、本物の強さを知るにはゲームの本質を究めないといけない、といったことを議論しました。その後、ときどさんは考えをさらに進めて「ゲーム道」を提唱しているそうですね。実は、柔術を柔道へと発展させ、世界に発信した嘉納治五郎も東京大学の出身なんです。ときどさんは東大から2人目の「〇〇道」創設者になりますね(笑)。

ときど いえいえ、恐れ多いです(笑)。ただ、僕は空手をやっていて、相手を敬う精神や礼儀作法はゲーム道の考え方にもつながっています。

石川 最近、試合前に瞑想(めいそう)していますよね。姿勢を正して目を閉じて精神を集中させる。野球ではイチロー選手が構える前にやるルーティンの動作が有名ですが、ゲームプレーヤーでこういうことをする人は珍しい。海外では、ときどさんのことを「禅(Zen)プレーヤー」と呼ぶ人もいますね。「Tokidoはゲームにスポーツ・サイコロジーを初めて取り入れた」と話す解説者もいました。

ときど メンタル面の強化は好成績につながっているかもしれません。僕たちプロのプレーヤーが格闘ゲームで戦うメーンの大会はカプコンが主催する「カプコン プロツアー」ですが、2016年は総合ポイントで世界2位、日本人ではトップで終えることができました。自分の中では、結果を求めたわけではないのに好成績を残せたことがうれしかったですね。

石川 試合内容もよかったですね。中でも昨年6月に米国で開かれた「CEO2016」の決勝戦は白熱の名勝負でした。ゲームのキャラクターでなく、プレーヤーの人間同士が、おのれのプライドをかけて戦っているのが観客にも伝わってきました。

ときど 見ている方にストーリーが伝わったのかなと思います。相手は韓国の選手で、当時は絶対王者として君臨し、僕自身も大事な試合で3回連続して負けていました。今度こそはという思いは僕にもあったし、周りの期待もひしひしと感じていました。この試合にかけて必死で練習してきたものをすべて出せたから勝てたんだと思います。

石川 この試合で、ゲーム関係者のときどさんを見る目が変わりましたね。人間として、すごく成長しているように見えます。

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