石川善樹の「脳とうまく付き合う法」

これからは、英語より物理を学ぶ時代! 新進気鋭の物理学者、白石直人氏に聞く

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石川 ところで、ここまで「要素還元的なミクロの思考」と、「構造をみるマクロの思考」について話をしてきましたが、マクロの思考って、一般には「大局観」という言葉に近いわけですよね。それはどうやって身に付けたり、トレーニングしたりすればいいでしょう。

大局的に見るクセを付ける

白石 僕がマクロとミクロの違いを説明するのによく使う例は、コインを1万枚用意してそれを一斉に投げた時の表と裏の出方です。全体としては2の1万乗という途方もない数の表裏の出方がありうるわけですが、もし全コインの表の割合だけが知りたいのであれば、この1回の1万枚コイントスについて、ほとんど確実に表の割合は2分の1だと予測できます。

石川 いわゆる大数の法則ですね。

白石 はい、コインの数が多いほど、例えば6割のコインが表になる確率は、無視できるほど小さくなります。

石川 要は個別の事象に全くとらわれないということですね。かっこよく言えば、「大局観とは、本質と偶然を見極める力である」と言えるかもしれませんね。

白石 はい(笑)。

石川 でもそうやって大局的にみるクセがつくと、白石君のように、「たとえ違う分野であっても、似たようなことが起きてるはずだ」という想像力をもって世界をみれる気がしますね。

白石 他の分野への関心は、僕が異常に強いのかもしれませんが(笑)。視野は広く持っていた方がいいですよね。

石川 「パレートの法則」も大局的な見方の一つですね。全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出していて、例えば、国の富の80%は所得が多い20%の層が持っているというように使われます。もともとは経済学の言葉ですが、広くいろんな対象にも当てはまる。大局的な構造がわかっていると、いちいち個別の事象を見てもあわてないんじゃないかと思います。

白石 それはありますね。個々の事象の関係をどうルール化できるか、そういう視点で物事を見るのは大事でしょうね。

石川 例えば、個々のビジネスをみると、人はいろんな解釈をしたがりますが、大局で見るとすごく単純なモデルだったりする。大局的な考え方を意識していると、過剰な解釈はしなくなるかもしれません。

白石 ただ、あまり大局的なことを重視すると、解きやすい問題ばかり扱って、個別の泥くさい性質を嫌いすぎてしまうという弊害もあるんですけどね。

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