石川善樹の「脳とうまく付き合う法」

これからは、英語より物理を学ぶ時代! 新進気鋭の物理学者、白石直人氏に聞く

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石川 つまり、めちゃくちゃ分かりやすく言うと......?!

本質的なトレードオフ構造を探す

白石 車で言うなら燃費の向上です。

石川 わかりやすい(笑)。それで何が問題になるの?! 

白石 ですけど、変換効率が非常に良くても、例えば時速1キロでしか蒸気機関車が走れなかったら、全く役に立たないわけですよね。なので私たちは熱エンジンのスピードも上げたい。これに対して僕が最近証明したのは、「燃焼効率とスピードはトレードオフになっている」、つまり「燃焼効率を上げようと思うと絶対に一定以上のスピードを出すことができない」ということです。これは現在の技術が未熟だからということではなく、原理的な限界として課されているものなんです。

石川 それはすごい発見だよね!こういう基本的なトレードオフ構造を証明したというのは、めちゃくちゃセンスがあると思って、今回の対談もお願いしました。

白石 今回の証明は非常にシンプルで、物質が何であっても成り立ちます。水でも二酸化炭素でもいい。詳細な情報は一切いらない。科学って小さな情報を積み上げて最後につながるというイメージが強くて、僕自身も高校くらいまでそう思ってたんですが、実はそれだけじゃない。ミクロの構成要素はいろいろあっても、最後はマクロで同じ法則に行き着く。どちらかというと要素間の構造とか、全体的なものが重要なんじゃないかということですね。

石川 これは科学者に独特の考え方かもしれませんが、僕らはよく「原理的な限界」を知ろうとします。そうすることで、何が「本質的なトレードオフ構造」か見えてくるからです。

白石 そうですね。例えば、熱を利用可能なエネルギーに変換する効率に上限があることは、すでに19世紀にフランスのカルノーという科学者が証明しています。

石川 そうそう。それを基に、トヨタ自動車などがエンジンをどこまで効率化できるか、という研究を進めてきた。つまり、科学は限界を知ることで発展してきたと言えます。

白石 最近、スローライフとか言われますよね。スピードを上げようとすると効率は下がるという今回の結論は、何かしら示唆を与えられるかもしれません。

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