石川善樹の「脳とうまく付き合う法」

これからは、英語より物理を学ぶ時代! 新進気鋭の物理学者、白石直人氏に聞く

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白石 これは個人的な考えですが、普遍性には2種類あると思っています。

普遍性には2種類ある

石川 というと?

白石 1つは、多くの人がイメージするような、突き詰めていく考え方です。超ひも理論とか、できるだけ細かくしていって、余計な要素を取り除くことで純粋な法則を取り出す。すべての物質の構成要素がその法則を満たすという意味で普遍的です。

石川 すべてを要素に分解して、そこから組み立てるやり方ですね。

白石 そうです、還元主義的な考え方ですね。それに対して、細かいことは無視して、大域的な特徴にのみ着目することで、普遍性が見いだされる場合もあります。例えば、熱力学第二法則もそうです。

石川 お、物理っぽい話になりましたね(笑)。ちなみに、第二法則ってどんなのでしたっけ?!

白石 たとえば、熱いお湯と冷たい水を入れて放置するとぬるい水になりますが、ぬるい水を放置しても熱いお湯と冷たい水には分かれていかない。そういう法則です。

石川 あ!思い出した!(笑)それでこの第二法則がどうして重要なんでしたっけ?!

白石 この法則の驚くべき点は、ここでは水分子の詳細な情報は全く関係ないという点です。むしろ、詳細な情報は見ないことにしたからこそ現れる法則です。そして、この熱力学第二法則は水に限らず、例えば二酸化炭素でも金属でもあらゆる物質が満たすという意味で普遍的です。

石川 マクロの現象として、その構造を導き出す。これは経済学でいうと、需要供給曲線とかと同じですね。

白石 そうですね。一人ひとりの消費者や企業の行動は見えなくても、全体としてどういう現象が起きるかが示せればいい。僕がやっている統計力学というのは、後者の普遍性の方を扱っています。

石川 そういえば、白石君が最近発見した証明もそうですね。難しいですが、簡単に説明してもらえますか。

白石 この研究で対象としたのは、発電所や蒸気機関車など、熱のエネルギーを電気や運動といった自由に使えるエネルギーに変換する「熱エンジン」というものです。蒸気機関車を例に説明すると、取り込んだ熱エネルギーはできるだけ多く機関車の運動のエネルギーに変換したい、すなわち効率を上げたい、というニーズがまずあります。

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