石川善樹の「脳とうまく付き合う法」

これからは、英語より物理を学ぶ時代! 新進気鋭の物理学者、白石直人氏に聞く

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個別の事象は普遍を見るための窓

石川 確かに、直観に反して面白いですね。物理学はそういう身近なところで僕らの生活に結び付いているわけですが、どうしても難しい、とっつきにくい、というイメージがあります。今日は物理学とは何か、物理学者はふだん何を考えているのか、というところを教えてください!

白石 直人氏(しらいし なおと)

白石 直人氏(しらいし なおと)

1989年東京都生まれ。2012年東京大学理学部物理学科卒業。現在、東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍(2017年3月博士号取得予定)、日本学術振興会特別研究員DC1。専門は非平衡統計力学。

白石 そもそも物理学は何を研究する学問か、あらためて考えると説明は難しいなと思います。例えば、生物学なら生きている物、天文学なら天上の星や銀河などと言えますが、「物理学は物を扱う」では答えにならないですよね。すべて物だから(笑)。

石川 確かに(笑)。

白石 僕の考えでは、物理学って、「物の普遍的、本質的な構造を明らかにする学問」だと思っています。だから、物理学者というのは、何かをみた時に、個別性よりも、普遍性を見出そうとする人なんだと思います。

石川 なるほど。たとえば、どんなことが普遍的と言えますか?

白石 そうですね、たとえばニュートンの万有引力の法則ですね。リンゴの逸話は後の創作とも言いますが、リンゴが木から落ちることと、月が地球の周りをぐるぐる回ることは同じ法則で説明できることを発見しました。

石川 あー、よく聞く話ですが、物理学的には何が新しい発見だったのかな?

白石 いい質問です!(笑)それまでの物理学では、「地上の直線的な運動」と「天体の回転運動」は別の法則だと考えられていました。しかしニュートンは、月も直線的に動いているものの、地球の引力に引っ張られて、バランスがとれた回転軌道を描いていることを証明したわけです。

石川 なるほどー。つまり、「直線運動」と「回転運動」は、実は個別の現象ではなく、その裏には普遍的な法則が隠れているのを発見したんですね。

白石 そうですね。僕らにとっては、個別はあくまで普遍を見るための窓なんです。逆に言うと、見なくてよいものは思い切って捨てる。例えば、地球上で物を投げる運動を考えたとき、現実には空気抵抗があるわけですが、物体の放物運動を議論する際にはそれは無視する。この場合には、本質的な要素は慣性運動と重力の存在だけで、それ以外の本質的でない要素は脇に置くという考え方をします。

石川 それは面白い!ところで、「普遍性とは何か?」といわれたとき、物理学者はどういう風に捉えているの?

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