石川善樹の「脳とうまく付き合う法」

「仮面」に縛られてる自分に気づいてますか? ロンドンを拠点に活躍 役者の石田淡朗氏に聞く

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 予防医学者の石川善樹氏がさまざまな分野のエキスパートと対談しながら、脳とうまく付き合う方法を探る連載シリーズ。第11回はロンドンを拠点に活動する役者の石田淡朗氏がお相手です。能・狂言の子役から一念発起して英国の名門演劇学校に入学し、現在はハリウッド映画にも出演するなど、まさに世界を股にかけて活躍する石田氏。日英米の演技論の違いから、シェークスピアとドラクエの共通点、さらには素の自分であることの難しさ、仮面に振り回されないことの大切さなど、ビジネスパーソンの働き方にも多くの示唆を含む対談となりました。

狂言は3歳で「アドリブ」を演じる

石川 善樹氏(いしかわ よしき)

石川 善樹氏(いしかわ よしき)

1981年広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業後、ハーバード大学公衆衛生大学院修了。「人がより良く生きるとは何か」をテーマとして学際的な研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、マーケティング、データ解析等。講演や、雑誌、テレビへの出演も多数。NHK「NEWS WEB」第3期ネットナビゲーター。著書に『疲れない脳をつくる生活習慣』(プレジデント社)、『最後のダイエット』『友だちの数で寿命はきまる』(ともにマガジンハウス)など。

石川 淡朗くんとは気が合ってよくおしゃべりしてますが(笑)、今日は素朴な疑問も含めてよろしくです。

石田 はい!

石川 まず、ご自身のことを俳優でなく、役者と名乗っているのは何か理由があるんですか?

石田 数年前、堺雅人さんが新聞で「何にでもなれるのが役者、誰かの役に立つのが役者」といったことを話されていて、まさにその通りだと思ったんですね。いま僕は映画のプロデューサーも手掛けていますが、それも役者としてプロデューサーの役をしている、という感覚です。もともと狂言師なので、「師」から俳優よりは、役者の方が近いかなという思いもあります。

石川 なるほどね。そもそも、なぜ役者の道へ進もうと思ったんでしょう。

石田 父が狂言師(編集部注:石田幸雄氏)ですので、自然な流れで狂言の世界に入りました。普通は3歳で初舞台を踏むと、父親と祖父が師匠になるのですが、うちの場合は祖父が役者ではなかったので、父の師匠である野村万作先生に弟子入りしました。でもそうすると、それぞれ大体違うことを言うんです。往々にして、父は厳しく、祖父はちょっと優しい感じで、どちらの言う方を取るか、小さい頃から取捨選択することを学びますね。

石川 なるほど!まるで四谷学院の「先生2人制度(ダブル教育)」みたいな(笑)。でも、最初はベーシックなことを教わると思うけど、そんなに内容が違うものですか?

石田 大きく違ってくるのはもっと上になってからですけどね。3歳でまず演じるのは「靱猿(うつぼざる)」という45分くらいの演目で、これは必ずみんなやります。猿の役で、お尻をかいたり、ぐるっと回ったり、6つくらいの所作を習うんですが、いつ、どの所作をやるかは自分で考えるんです。観客を飽きさせないように。

石川 3歳で!? それって演じるたびに変えるんですか。

石田 もちろんです。けっこう、ハードル高いんですよ。他の伝統芸能の初舞台というと座ってるだけの場合が多いんですけど狂言はちょっと違いますね。それで「靱猿」の次にやる演目が「いろは」といって、これは口移しに相手のまねをする役なんです。

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