石川善樹の「脳とうまく付き合う法」

「健康な人に健康を売る」時代のマーケティング Campus for Hの共同創業者、米倉章夫氏に聞く

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 予防医学者の石川善樹氏がさまざまな分野のエキスパートと対談しながら、脳とうまく付き合う方法を探る連載シリーズ。第10回のお相手は、石川氏とともに健康関連サービスを手掛けるCampus for Hを創業し、社長を務める米倉章夫氏です。P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)Japanで食品や洗剤のマーケティングを手掛けた経験を生かし、新会社では自治体と組んだ、がん検診の受診率向上や、ケニアでのダイエット普及など、新たなビジネス分野を次々に切り開いています。「健康な人に健康を売る」時代のマーケティングとはどうあるべきか。同志でもある石川氏と熱い議論が戦わされました。

ブランドは社会の文脈の中で作られる

石川 僕は人生のパートナーが奥さん以外に2人いまして、1人が米倉君で、もう1人が福吉潤さんです。Campus for Hの母体となったキャンサースキャンという会社を一緒に創業した仲間なんですが、2人ともP&Gでマーケティングに携わっていた点が共通しています。

米倉 僕は福吉さんに「新しいことをやるから一緒にやろう」と誘われて、健康を売るマーケティングに関わるようになりました。

石川 善樹氏(いしかわ よしき)

石川 善樹氏(いしかわ よしき)

1981年広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業後、ハーバード大学公衆衛生大学院修了。「人がより良く生きるとは何か」をテーマとして学際的な研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、マーケティング、データ解析等。講演や、雑誌、テレビへの出演も多数。NHK「NEWS WEB」第3期ネットナビゲーター。著書に『疲れない脳をつくる生活習慣』(プレジデント社)、『最後のダイエット』『友だちの数で寿命はきまる』(ともにマガジンハウス)など。

石川 今の時代、モノを売るのは難しいんですが、僕たちがやっているのは「健康な人に健康を売る」という特に難しい分野で、言ってみれば「エスキモーに氷を売る」ようなもんなんです(笑)。ソーシャルマーケティングの一種とも言えますが、米倉君はこの分野で世界の第一人者といわれています。あのフィリップ・コトラーの教科書にも載っているくらいですから。その内容は後ほど聞くとして、そもそも、どうしてマーケティングの世界に入ったのか聞かせてもらえますか。

米倉 この道に進んだのは父親の影響が大きいですね。父は日本美術史の研究者(編集部注:米倉迪夫氏)で、中世の肖像画が専門です。以前、源頼朝の肖像画が実は別人だったというので話題になりましたが、あれは父の研究の成果です。

石川 なんと!!

米倉 父がよく話していたのは、絵画などの評価は社会的に作られていくものだ、ということでした。要は、ブランドというのはその社会の文脈の中で作られるものだと、中高生だった私に懇々と語ってくれました。

石川 物事の価値とはコンテクストが作るものであると。

米倉 ええ。父は自分のことを社会学者であると言ったり、幼い僕にフランスの社会学者のピエール・ブルデューを読ませたり。

石川 英才教育ですね(笑)。

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