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M&A成功のカギは魅力ある「ストーリー」 マーサージャパン グローバルM&Aコンサルティング プリンシパル 島田圭子氏

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チームで日本企業の強み発揮

 また、1人が全体を把握して意思決定するよりも、チームで運営する方が日本企業の強みを発揮できる。具体的には、買収会社を管理するための「グループ会社室」のような組織を新設し、月次報告などをとりまとめる。現地の会社には、親会社の事前承認事項をきちんと把握するための「ステアリング・コミッティ」を置き、ふさわしい人材を送る。こうしたガバナンスのハードウェアの設計も重要だ。

図表2 ガバナンスのハードウェアの設計

出典:マーサージャパン

出典:マーサージャパン

 よくあるのが、買収した会社の取締役会に本社から人を派遣しているから大丈夫、という誤解だ。欧米企業のトップには、会議内容を事前に根回しするといった発想はないのが一般的。会議の数日前に大量の書類が回ってきて、読みきれず、判断できないといった事態が起こる。ここでノーと言うと意思決定が遅れ、事業が前に進まなくなる。

 現地で意思決定する前に、どれだけ情報を集めて精査しておくかが問われる。すでに固められた内容を覆すのは相当のコストがかかる。そのためには事前に親会社の意思を明確に伝えておくことと、当初の議論から関わること。ここでも言えることだが、遠慮して様子を見ながら後出ししていくのが一番よくない。

――海外企業の買収例は増えていますが、これからの課題は何でしょうか。

 現経営者の引き留め策は、日本企業にも浸透してきている。ただ、中長期的に現地の経営チームを作り変えていく、といったことまでは、できている企業は少ない。クロージング後、すみやかにアセスメントを実施し、経営者の力量をきちんと把握し、必要な場合には交代させる。これはタイミングを逸するとやりづらくなる。代えがない中、現経営陣を手厚くリテインし続けることになり、辞められるよりはいいが、求められる経営目標達成上、必ずしもベストではない、といった状態が続いてしまう。一定の準備と腹を固めることが必要だろう。

キーワード:経営、企画、経理、経営層、管理職、人事、人材、グローバル化、研修、AI、働き方改革

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