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M&A成功のカギは魅力ある「ストーリー」 マーサージャパン グローバルM&Aコンサルティング プリンシパル 島田圭子氏

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不明確なルールでやる気失う

――組織全体のガバナンス体制はどのように構築していけばよいのでしょう。

 マネジメントとガバナンスは分けて考える。マネジメントの体制は現CEOをトップとした経営陣にそのまま任せる場合、日本の本社がしっかりとガバナンスする必要がある。健全なガバナンスに求められる着眼点が4つある。1つは達成すべき目標を明確にすること。現状の業績がよいからといって任せきりにするのでなく、能力を最大限に引き出す方策を考える。

図表1 健全なガバナンスに求められる着眼点

出典:マーサージャパン

出典:マーサージャパン

 2つ目は経営の全体を押さえると同時に、重要な細部を把握すること。通常の業務は任せても、品質や環境・安全、コンプライアンス(法令順守)といった、経営の根幹に関わることは外せない。一方で、よくあるのが細かな管理のゆき過ぎだ。どの部署が、どのタイミングで報告させるか明確にしないため、買収される側は何度も同じ話を伝えることになり、モチベーションが下がってしまう。

 3つ目は経営者に与える権限。これも事前にルールを明確にしておかないと、その都度対応することになり、経営者のやる気を失わせる要因になる。逆に遠慮しすぎると、コントロールがきかなくなるのでバランスが難しい。

 最後は経営者の任免、評価、報酬決定のいわゆる「人事三権」だ。ガバナンスのソフトウェアの部分といえる。評価基準の明確化も必要だが、最も重要なのは、交代させられるだけの備えがあるかどうか。引き留めたからにはきちんと働いてもらうが、パフォーマンスが上がらなければ報酬を変えたり、人を代えたりすることも辞さないという覚悟が求められる。後任を準備するサクセションプランは軽視されがちだが、常にアップデートしておく必要がある。経営者が後継者として想定していた人物が、家庭の事情で断るといったケースも過去にあった。

――日本の本社と買収会社の役割分担はどう考えるべきでしょうか。

 買収に伴うガバナンスには「日本でのガバナンス」「現地でのガバナンス」「買収先でのマネジメント」の3つがあり、効果的・効率的な役割分担と設計が大事になる。日本企業は現地に派遣できる人材を多く持たないため、日本でのガバナンスを充実させることが実態に合っているだろう。

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