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M&Aは「マイナス」からのスタート マーサージャパン グローバルM&Aコンサルティング プリンシパル 関根賢二氏

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――日本と欧米の文化の違いもあるように思いますが。

 文化(カルチャー)とひとくくりでいうが、国民性(ナショナル・カルチャー)と、企業文化(コーポレート・カルチャー)、個人性(パーソナル・スタイル)を分けて考える必要がある。国民性の違いは受け入れるしかないだろう。ただ、企業が目指すべき「よきカルチャー」というのは国の違いを超えて共通するものがあるのではないか。

「合わせる」より「作り上げる」

 それは仕事が効率的に進められる組織、仕組みといったものだろう。具体的には意思決定プロセス、業務プロセス、コミュニケーションなどが効率的かどうか。これらを目に見える形に落とし込み、把握して、改革していく。

 日本人は相手に「合わせる」傾向があるが、新たに「作り上げる」ことを志向すべきではないか。お互いにギャップを認めたうえで、よりよい「第3の道」を目指す。日本企業が海外企業を買収する際、よく「ガバナンスはするが、マネジメントは任せる」といったスタイルをとりたがる。任せるのはいいが、きちんと話し合った上で、「意に沿った新しいマネジメントを任せる」ようにするのが本来の姿だろう。

――日本企業による海外企業の買収でうまくいった例はありますか。

 JTなどを挙げる人もいるが、要は身の丈にあった経営ができているかどうか、ではないか。自分たちでできないところは、きちんと詰めた上で任せる。ただ、実際にM&Aが成功したかどうかは長い期間で評価しなければいけない。なぜ買収するのかという「ディールロジック」と、買収価格、そして買収後の事業計画(PMI)。この3つを当初から連携して考えていくことが、成功するには欠かせない(図表2)。

図表2 M&Aの成功要因

M&Aの成功には、最初から3つの成功要因を連携して考え始めることが重要

M&Aの成功には、最初から3つの成功要因を連携して考え始めることが重要

 ――買収価格やPMI施策はディールロジックを反映することで初めて決められる

 なお、M&Aを繰り返して実施していくと、いずれかのタイミングで全体再編、売却も必要となる。

 逆に失敗は買収価格に見合った効果を得られない場合であり、1980年代後半から90年代の大型の海外M&Aでは売却・撤退の例が少なからず見られる。欧米企業を買収するのに必要な資金は高くなりがちだが、これは株主の目が厳しいという理由のほかに、欧米企業がM&A、特に売ることに慣れているからという側面もある。

 日本企業は買収の経験は積み始めているが、売ることにはまだ慣れていない。欧米企業は買収もするが、ある程度の規模になると事業全体をみて不要なものは売っていく。それを次の買収資金にあてる。これを繰り返すことが本来の成長戦略であり、経験を重ねていくことが「高値つかみ」を防ぐことにもつながる。

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