グローバル競争を勝ち抜く組織・人事

M&Aは「マイナス」からのスタート マーサージャパン グローバルM&Aコンサルティング プリンシパル 関根賢二氏

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 日本企業の活動がグローバル化するのに伴い、経営目標を達成するための人材育成や報酬のあり方、組織運営といった課題が重要性を増している。グローバル経営を加速し、成長を実現するには何が必要か。組織・人事コンサルティングで世界大手のマーサーの日本法人、マーサージャパンのコンサルタントがテーマごとに解説する。

 3回目はM&A(合併・買収)に焦点を当てる。買収価格に見合った成果をあげている日本企業はさほど多くない。その原因は何か。成功に導くには何が必要なのか。グローバルM&Aコンサルティング プリンシパルの関根賢二氏に聞いた。

買収価格以上の価値をあげているか

――日本企業による海外企業のM&A(合併・買収)が活発化しています。

関根 賢二(せきね けんじ) マーサージャパン グローバルM&Aコンサルティング プリンシパル

関根 賢二(せきね けんじ)

マーサージャパン グローバルM&Aコンサルティング プリンシパル

日本興業銀行、タワーズペリン(現タワーズワトソン)を経て現職。組織・人事デューデリジェンス、年金制度の分離・承継、人事制度統合、役員報酬・リテンション施策の設計など、M&Aにおける組織人事課題に対する豊富な経験を持つ。日本企業による海外企業の買収、国内の大型事業再編、バイアウト・ファンドによる投資などを数多く支援している。慶応大学、慶応大学院卒、ペンシルバニア大学ウォートン・スクール修了(MBA)。年金数理人、日本アクチュアリー会正会員、CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

 背景にはまず、少子高齢化で国内市場が成熟していることがある。成長を続けるには海外に打って出るしかない。もう1つの要因は円安や技術力を背景に日本企業が収益力を高めた結果、手元資金が豊富にあるということ。さらに、金融庁がまとめた責任ある機関投資家の行動指針「日本版スチュワードシップ・コード」や、上場企業の統治指針「コーポレートガバナンス・コード」の相次ぐ導入で、企業経営者が今まで以上に資本効率の向上を迫られている現実がある。

 成長戦略の一環としてクロスボーダーのM&Aを進めることが求められていると言えるだろう。最近は、すぐにM&Aを実施するわけではないが、そのための投資枠を設定する企業も増えている。お金を遊ばせているのではなく、準備はしているという意思を示す狙いだと思われる。

――案件は増えていますが、うまくいっている例はそれほど多くないようです。

 何をもってM&Aの成功とするか。単純にいえば、買収した企業が、その価格以上の価値を生み出しているか、これに尽きる。では買収価格はどのようにして決まるか。一般的に、日本では買収価格はその企業の株主価値の20~30%程度のプレミアムが上乗せされる。海外では30~40%、時には50%にのぼることもある。

 なぜ、それだけ高く買えるか。それは買収後のシナジー(相乗効果)を期待しているからだ。つまり、買う時にはその時点の価値より高く買うわけで、いわば「マイナス」からのスタートとなる。それをきちんと認識したうえで、買収後にシナジーをどこまで実現できるかが、買収価格の妥当性、すなわちM&Aが成功したかどうかの判断材料となる。

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